米FBI、ブラッター会長を1億ドル贈収賄で捜査 FIFA汚職問題

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FIFAのゼップ・ブラッター会長
国際サッカー連盟(FIFA)汚職問題で、米連邦捜査局(FBI)が1億ドル(約123億円)の贈収賄をめぐりゼップ・ブラッター会長(79)の果たした役割を捜査していることが、BBCの取材で分かった。
調べによると、スポーツ・マーケティング代理店ISLが1990年代にFIFA関連のテレビ放映権やマーケティング権の事業を優先的に得る代わりに、ジョアン・アベランジェ前会長や元FIFA理事のリカルド・テイシェイラ氏(ブラジルサッカー連盟会長)を含む複数幹部に合計1億ドルを支払った疑いが持たれている。
ブラッター会長は賄賂について知らなかったとして、対策もとらなかった。
巨額贈収賄の疑いがかけられている2018年と2022年ワールドカップ(W杯)の開催国選定投票に、テイシェイラ氏が参加することも認めた。
「すべて承知」
BBC調査報道番組「パノラマ」のアンドリュー・ジェニングス記者は、FBIが入手し、ブラッター氏の否認に影を落とす手紙を直接目にした。
アベランジェ氏が書いたと思われるこの手紙は、ISLからの支払いに言及し、ブラッター氏が「活動のすべてを承知」しており、「常に報告を受けていた」と書いている。
手紙はFBIがスイス当局に捜査協力を求める中に提供資料として含まれている。FBIはスイス当局が過去にISLの贈賄疑惑について行った捜査資料の提供を求め、「担当検事は、ブラッター氏を有罪にするアベランジェ発言を含めて捜査している」と説明した。
ブラッター会長は2010年、アベランジュ、テイシェイラ両氏がISLから賄賂を受けていたという調査結果を封じ込め、2013年にはFIFA倫理委の調査に対して、自分は贈収賄について何も知らないと証言。会長に問題行為はないとこれまで判断されてきた。
来年2月に会長を辞任すると表明しているブラッター氏は、自らへの疑惑追及へのコメントを拒否。現在は、90日間の資格停止処分を受けており、12月半ばにはFIFA倫理委の審判を受ける。

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Joao Havelange (right) served as Fifa president from 1974 to 1998
英保守党のデイミアン・コリンズ下院議員は「パノラマ」に対して、ブラッター氏の行動は尋常ではないと指摘。「どうしてこの人たちを守ろうとしたのか、守るだけでなくFIFAの重要事項で活発な役割を果たすのを認め続けたのか。そこを問わなくてはならない」。
「パノラマ」は、カタールが22年大会の開催権獲得のために使った金額も明らかにする。
捜査継続
イングランド・サッカー協会元会長のトリースマン卿は、英情報部に近い複数の消息筋から、1億1700万ポンド(約220億円)という数字を聞いたと番組に話した。
「常に信頼できる良質な情報、良いインテリジェンスを提供してくれた2つの情報源から、カタールが使った金額は1億1700万ポンドだと聞いた」
これはイングランドが2018年大会誘致活動に使った金額の6倍、米国が2022年大会招致に使った額の12倍近い額だ。
カタールの大会招致委委員長は「パノラマ」の取材に回答しなかった。

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カタール大会の招致活動には1億1700万ポンドが費やされたという
米司法省のリンチ長官は3日、FBIはFIFAに対する捜査の一環としてさらに幹部や関係者16人を起訴したと発表している。
(FIFAとブラッター会長の収賄疑惑に関する「パノラマ」番組は英国時間7日夜にBBCで放送)