「次はお前だ」 オバマ米大統領が対IS戦略で演説

オバマ米大統領は14日、国防総省で演説し、過激派組織「イスラム国」(IS)をこれまでになく激しく攻撃していると強調した。

今月2日にカリフォルニア州サンバーナディーノ郡の福祉施設でイスラム過激思想の影響を受けた2人が銃撃事件を起こし、14人を殺害したことを受け、オバマ大統領は米国民の間に広がる不安を和らげようとしている。

大統領は演説で、先月にはISに対する空爆回数が過去最高に上ったと説明。ここ数週間の間に米国主導の有志連合が多くのIS幹部を殺害し、収入源となっている石油設備を攻撃したと述べた。

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President Obama said the US was hitting so-called Islamic State "harder than ever"

<英語ビデオ>オバマ大統領の国防総省での演説

サンバーナディーノの銃撃事件の2週間余り前には、パリでイスラム主義の武装グループが連続襲撃事件を起こし130人が死亡している。

2014年の夏に始まったISに対する空爆は合計約9000回に上っている。

大統領は、昨年夏の空爆開始以来、ISがシリアとイラクでの地上戦で大きな戦果をひとつも挙げておらず、イラクでの支配地域は4割縮小していると指摘した。ただし、今後も「非常に厳しい戦いが続く」とくぎを刺すのも忘れなかった。

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英空軍の戦闘機。英議会は今月2日にシリア空爆を承認した

オバマ大統領はこれまでに殺害に成功したIS幹部の名前を列挙し、「要するに、ISIL(ISの別称)の指導者たちは逃げ隠れることはできない。伝えたいのは『次はお前だ』という簡単なことだ」と述べた。

オバマ氏が挙げたIS幹部の名前には、先月殺害された「ジハーディ・ジョン」も含まれていた。「ジハーディ・ジョン」とは、西側諸国の人質の殺害ビデオに繰り返し登場した英国人モハメド・エムワジ容疑者の通称。

大統領は17日にバージニア州内の国家テロ対策センターを訪れる予定。国防総省と国家テロ対策センターを相次いで訪問する背景には、政府がしっかりとした対IS戦略を持っていると国民を安心させようとしていることがある。

今月6日には、オバマ大統領は同様の目的で執務室から異例の演説を行い、反ムスリム(イスラム教徒)感情の高まりへの懸念も表明した。

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オバマ大統領は国防総省で、中東を近く訪問するアシュトン・カーター国防長官(写真右)らと協議した

一方、オバマ大統領の対IS戦略を批判する向きも勢いを増している。

米下院のケビン・マッカーシー院内総務(共和党)は14日、「大統領の今の戦略がうまくいっていないのは明白だ」と語った。同氏は「打倒どころか、抑止さえできていない。ISIS(ISの別称)はいまやテロ行為をこれまでにない範囲にまで広げている」と述べた。

最近の世論調査によると、米国民の約7割がテロ攻撃の可能性が、少なくとも「多少高い」と考えており、テロへの不安感が急速に高まっていることが示されている。