ケニアで襲撃 ムスリム、キリスト教徒をかばう

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ソマリアのアルシャバブ兵(2008年、モガディシオ郊外で)
ケニア北東部マンデラ県のソマリア国境付近で21日、イスラム過激派勢力がバスを襲撃したところ、ムスリム(イスラム教)の乗客たちがキリスト教徒たちをかばったという。バス会社がBBCに確認した。襲撃では少なくとも2人が死亡したという。
マンデラ県のアリ・ロバ知事が地元メディアに話したところによると、国境沿いのエルワク村近くで、ソマリアを拠点とする過激派勢力アル・シャバブの兵士がバスを襲った。アル・シャバブは犯行を認めている。バスは首都ナイロビからマンデラ町へ向かっていた。
知事は「地元住民は愛国心と仲間意識を示した」と述べ、乗客たちの団結を目にしたから武装勢力は立ち去ったのだと話した。
報道によると、ムスリムの乗客は兵士らに「殺すなら一緒に殺せ。そうでないなら放っておけ」と告げ、キリスト教徒たちと分けられることを拒否したという。
バス会社「マカー」社員は襲われたバスの運転手の話として、ムスリムの乗客たちがキリスト教徒たちと離れることを拒否したとBBCの取材に確認した。バスを降ろされた乗客のひとりが走って逃げようとしたところ撃たれ、死亡したという。
ケニア軍は2011年10月に、アル・シャバブ掃討のためソマリアに進攻。以来、アル・シャバブはケニアと敵対している。ケニア北東部にはソマリア系住民が多く、アルシャバブはこの地区を頻繁に攻撃している。
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ケニア・マンデラ県の位置
今年4月にケニア北東部ガリッサのガリッサ大学をアル・シャバブが襲撃し148人を殺害した際にも、襲撃犯たちはムスリムを多く解放する一方でキリスト教徒を射殺したとされている。
昨年にはマンデラ近くでアル・シャバブがバスを襲撃し、ムスリムではない乗客28人を殺害した。バスはクリスマスのためナイロビへ向かっていた。
BBCニュースのバシュカス・ジャグソダーイ記者によると、キリスト教徒が殺された昨年の事件の影響で他の地域からマンデラ県へ来て働いていた教師や医療関係者2000人以上が、県を退去してしまったことなどから、地域のムスリム系住民も相次ぐ襲撃による打撃を強く受けている。今回、ムスリム教徒たちがキリスト教徒をかばったのは、そうした事態へのいら立ちも背景にあるのではないかと記者は指摘している。