ロシアのシリア空爆で「市民200人以上死亡」=アムネスティ

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現地住民や人権団体は20日にイドリブ中心部を爆撃したのもロシア軍機だったと
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は23日、9月末からのロシアによるシリア空爆で少なくとも市民200人が死亡したという報告書を発表した。目撃者や支援団体の証言にもとづく内容という。
アムネスティ・インターナショナルは報告書で、ロシアがシリア空爆を開始した9月30日から11月29日の間にロシアの空爆を合計25回以上受けた5カ所について「遠隔から調査」したところ、「国際人道法の尊重が著しく欠落している」ことが示唆されたと指摘している。
アムネスティによると、ホムス、ハマ、イドリブ、ラタキア、アレッポの各地で「爆撃とその後の状況を目撃した16人から、電話やインターネットで聞き取り調査した」という。調査した中には医師や人権活動家も含まれる。さらに、空爆に関連する「音声や動画を入手・調査し」、「兵器専門家の助言を得て」報告書をまとめたと説明している。
ロシア政府は繰り返し、そうした批判は「情報戦」の一環だとして、民間人に被害は出していないと主張している。またシリア空爆は、アサド大統領の要請を受けてのものだと説明している。
一方で、反政府勢力や欧米諸国からは、過激派勢力「イスラム国」(IS)ではなくむしろ反政府勢力を標的にしていると批判されている。
「ロシアのシリア空爆」で数十人死亡と 市民も犠牲か
「軍事標的なし」

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2015年10月にシリアで標的を空爆した様子と。ロシア国防省提供
アムネスティの報告書によると、たとえば11月29日にはイドリブ県アリハ中心部で市場がミサイル3発に爆撃され、市民49人が死亡し大勢が負傷した。現地の目撃証言や人権活動家の調査によると、「付近に軍事標的はなかった」という。
アムネスティは、ロシア軍が「人口密集地で無誘導爆弾や、そもそもその性質上無差別なクラスター爆弾を違法に使用した」と示す証拠もあると指摘している。
ロシア政府は報告書についてコメントしていない。
ロシアのプーチン大統領は、空爆への批判について10月、民間人の犠牲という批判は空爆を開始する前から出ていたと反論している。

ロシアによるシリア空爆箇所は赤とピンク、英国は黒、英以外の有志連合による空爆は青と水色