36年前のイラン米大使館占拠 元人質に補償金支払いへ

人質となった米国大使館員(1979年11月)

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人質となった米国大使館員(1979年11月)

イランの首都テヘランで1979年に起きた米国大使館の占拠事件で人質となった元大使館員らに補償金が支払われることが決まった。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

今月18日に米議会を通過し成立した2016年度(15年10月~16年9月)予算案に基づき、53人の元人質もしくはその相続人に最大440万ドル(約5億2900万円)が支払われる。

補償金の対象者には、1998年にケニア、タンザニアで起きた米大使館爆破事件など国家によるテロの犠牲者が含まれる。

元人質たちは長年、補償金を求める運動を続けてきたが、人質解放をめぐる合意が補償金の申請を阻止していた。また、最高裁による上告棄却を含む裁判所の判決でも訴えは認められていなかった。議会もこれまで、補償金の給付を可能にする法案を成立させられずにいた。

今回の動きは、今年7月にイランと米欧などの主要6カ国がイランの核問題解決に向けて最終合意したことを受けたもの。

ニューヨーク・タイムズによると、補償金の財源とみられるのは、先に仏系金融機関BNPパリバに対して、金融制裁の対象国であるイラン、スーダン、キューバと取引したとして科せられた罰金約90億ドル。

そのうち、約10億ドルはテロ犠牲者のための基金に充てられ、それとは別に28億ドルが2001年の9.11攻撃の犠牲者とその家族への支援に使われる。

今回成立した法案では、人質だった期間に対し1日当たり最大1万ドルが支払われる。一方、配偶者や子どもには最大60万ドルが支払われる。最初の支払いは1年以内となっている。

現時点で米大使館占拠事件の元人質53人のうち37人が存命。

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反米ポスターが貼られたテヘランの米国大使館(1979年11月)