【米大統領選2016】共和党討論会にトランプ氏欠席 ライバルは笑いの種に

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米大統領選の予備選を前に最後の共和党テレビ討論会が28日、アイオワ州デモインの会場で、フォックス・ニュース主催で行われた。最有力候補の実業家ドナルド・トランプ氏は予定通り司会者との対立を理由に欠席。共和党候補指名をめぐる予備選は、2月1日のアイオワ党員集会を皮切りに始まる。
討論会の司会者はフォックスの人気キャスター、メガン・ケリー氏。昨年夏に討論会でぶつかって以来、ケリー氏と対立してきたトランプ氏は、司会者を交代させなければ討論会を欠席すると表明。フォックス側はトランプ氏の「恫喝」を非難し、物別れに終わった。
トランプ氏は代わりに同じデモイン市内の会場で、負傷帰還兵のための支援集会を開いた。
共和党候補指名をめぐる他の候補7人は討論会に出席。トランプ氏の対抗馬とみられているテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)は討論会の冒頭、「僕は狂ってるし、ほかの皆さんは馬鹿ででぶで不細工。ベン(カーソン氏)、君はひどい外科医だよ……と、これでドナルド・トランプ的パートはおしまい」と、あえてトランプ氏的な罵詈雑で笑いを取ろうとした。
ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事も、「ドナルド・トランプがいないと少し寂しい。テディベアのような人だった」と微笑みながらトランプ氏に言及。同州選出のマーコ・ルビオ上院議員は「面白い人だ」と触れた。
冒頭でこうしてトランプ氏に言及して以降は、もっぱら移民問題などについての議論に移った。
トランプ氏が「因縁の女性キャスター」をボイコット
トランプ氏以外の話題は
最も激しいやりとりが交わされたのは、移民問題をめぐってだった。フロリダ州選出のマーコ・ルビオ上院議員はかつて、イスラム教徒を過激思想に洗脳しているイスラム寺院(モスク)は閉鎖させると公約。それを問いただされたルビオ議員は、今でも同じ考えだと主張した。
そのルビオ議員が以前、不法移民の子供に滞在資格を認めるオバマ政権の法改正案に賛同したことを、クルーズ議員は激しく批判した。
そのクルーズ議員もかつては不法移民に合法的な滞在資格を認める法案に賛成しており、これが今の移民に対する厳しい姿勢と矛盾するとルビオ議員に批判された。
討論会では、子供の頃メキシコから米国に移民したイラク戦争の帰還兵、ダルス・キャンディーさんがビデオリンクで登場。「今回の選挙戦で飛び交うコメントを聞いていると、この国が世界でどういう立場にあるのか問いただしたくなる」と批判すると、ブッシュ氏はその発言を称え、「この国は人を温かく歓迎する場所であるべきだ」と述べた。
ほかのテーマについては、ルビオ議員が自分が大統領になったあかつきには、イランの核開発をめぐる合意を破棄すると公約した。
ケンタッキー州選出のランド・ポール上院議員は、シリアで米軍の役割が拡大していることに懸念を示した。
ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は、自分を支援しなかった市長への嫌がらせに側近たちがわざとひどい交通渋滞を引き起こした2013年の事件について、あらためて自分は何も知らなかったと強調した。
一方でトランプ氏は
討論会と同時に同じデモイン市内で、戦争帰還兵を称える集会を開いたトランプ氏は、「ひどい扱いを受けたら、自分の権利のために戦わないと」と述べた。
フォックス・テレビは文書で、トランプ氏が討論会出演に500万ドルを要求したと明らかにした。
討論会後に米グーグルが発表した検索データによると、トランプ氏に対する関心は相変わらず他の候補たちを大きく引き離している。
ツイッターでも、言いたいことを言うニューヨーク出身の実業家がいないと、討論会は面白くないという意見が目立った。

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政治ジャーナリスト、マーク・ハルペリン氏は「トランプがいないとニュースにならない」とツイート。
その一方で、その場の注目を独占してしまうトランプ氏の不在によって、他の候補の長所が目立ったというコメントも多くツイートされた。

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政治ジャーナリスト、ジョナサン・チャイト氏は「真面目な話、トランプに頭をトイレに突っ込まれてないブッシュは、いつもより500%いい」とツイートした。
アイオワ州の共和党支持者たちが共和党候補を選ぶ2月1日の党員集会を皮切りに、民主・共和両党は各州で予備選や党員集会を重ね、夏の党大会に向けて党の候補を絞り込んでいく。
予備選では両党の党員がそれぞれ秘密投票で州としての候補を選ぶ。党員集会では投票資格のある党員や活動家が集まり、話し合いの末に投票で候補を選ぶ。