シリア和平協議 25日まで中断

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シリア内戦ですでに25万人以上が死亡している
国連は3日、シリア内戦の終結を目指す和平協議を今月25日まで一時中断することを決めた。協議はスイス・ジュネーブで先月末に始まったばかりだった。
シリア政府と反体制派の双方が、協議中断の責任は相手方にあると主張している。
和平協議の仲介役、スタファン・デミストゥラ国連特使は「やるべきことがまだある」と認めつつも、「終わりではない。協議が破綻したわけではない」と語った。
デミストゥラ特使は、「双方が協議の場にやってきたし、席を立たなかった。どちらも政治プロセス開始に関心があると強調していた」と述べた。
シリア政府軍は3日、反政府勢力が支配する要衝アレッポへの補給ルートを遮断。アレッポの北西にある2つの町ヌブルとザハラで反政府軍の包囲網を突破した。

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ロシアによる空爆やシリア政府の攻撃に抗議するアレッポの人々(2日)
シリア国営テレビによると、同国のバシャール・ジャアファリ国連大使は、反体制派がサウジアラビア、カタール、トルコから「協議を失敗させるよう」指示を受けて行動していると非難した。
一方、反体制派の最大組織「高等交渉委員会(HNC)」は、現場の状況が改善しないかぎり協議には戻らないとしている。HNCの調整役リアド・ヒジャブ氏は、「交渉を破綻させているのが誰か、世界中が承知している。誰が民間人を爆撃し、人々を餓死に追いやっているのかを」と語った。
反体制派は、シリア政府が和平協議の間もロシアの空軍の支援を受けながら、アレッポなどで攻撃を続けていると非難している。
米国はロシアが反体制派を意図的に空爆しているとして、協議中断の責任の一端があると指摘。国務省のジョン・カービー報道官は、「民間人を標的にした攻撃が現在の和平努力にどう役立つのか、理解するのはほぼ不可能だ」と述べた。
フランスはロシアの軍事行動が和平協議を「妨害している」と批判した。
しかし、ロシアのラブロフ外相は、「ヌスラ戦線のようなテロ組織を完全に敗北させない限り」空爆を止めないと強調している。

内戦勃発以来の月ごとの死者数
5年近く続くシリア内戦ではこれまでに25万人以上が死亡し、1100万人が住まいを追われている。
4日には、ロンドンでシリア内戦の影響を受けた人々への支援をめぐる国際会議が開かれる予定となっている。

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シリア政府軍の攻撃を受けるダマスカス近郊の都市ジョバル