国連安保理、北朝鮮のロケット発射非難 追加制裁を約束

北朝鮮のテレビは発射したロケットからの映像を放送(7日)

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北朝鮮のテレビは発射したロケットからの映像を放送(7日)

国連安全保障理事会は7日、北朝鮮の長距離ロケット発射について、強く非難する声明を発表した。日米韓の要請にもとづきニューヨークで緊急会合を開いた後、近く新しい制裁決議を採択すると明らかにした。

非公開会合の後、現議長国ベネズエラのラミレズ国連大使は、「安保理メンバーはこの発射を強く非難する」、「深刻な安保理決議違反だ」と批判した。

米国のサマンサ・パワー国連大使は、国連決議違反に伴う「深刻な結果を(北朝鮮に)科すよう」米政府として安保理に求めていくと述べた。

「何事もなかったようにこのまま済ますわけにはいかない」とパワー大使は述べ、「何か強い対応をまとめる」と表明した。

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北朝鮮ロケット発射 中国の懸念は

日本の吉川元偉国連大使も同様に、制裁強化の必要性を強調し、「既存の制裁では北朝鮮の核兵器開発を停められなかった」と指摘した。

北朝鮮は地球観測衛星を周回軌道に乗せるためのロケット発射だと説明しているが、批判する各国などは、弾道ミサイル実験が本当の目的だと捉えている。

安保理決議は、北朝鮮によるいかなる核実験や弾道ミサイル実験も禁止している。

北朝鮮はこれまでに、人工衛星の打ち上げ予告を国連に通告しており、韓国の専門家たちは故・金正日総書記の誕生日2月16日を前に北朝鮮が発射を実施するのではないかと予測していた。北朝鮮は1月6日には、同国が水爆実験だと主張する核実験を実施している。

北朝鮮は一貫して宇宙開発計画は平和目的だと主張してきたが、日米韓だけでなく、同盟国の中国でさえ、米国本土を射程距離内に収める大陸間弾道ミサイルの開発を進めているものとみている。

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ロケット発射に関する書類に署名する金正恩第1書記(7日)

5回目の核実験準備か

北朝鮮メディアはロケット発射を「光明星の日、2月の澄んだ青空に素晴らしい蒸気の筋が描かれた」などと称えた。国営・朝鮮中央テレビは同日正午(日本時間午後0時半)、北西部の東倉里(トンチャンリ)にある「西海(ソヘ)衛星発射場」から地球観測衛星「光明星4号」を発射し、10分後に「軌道進入を完全に成功させた」と「特別重大報道」を放送した。

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ロケット発射の発表を大型スクリーンで見る平壌の人たち(7日)

李春姫アナウンサーは、ロケット発射は国の平和的宇宙開発計画の一環として金正恩第1書記が指示したと述べ、今後も衛星打ち上げが予定されていると読み上げた。

韓国の政府情報機関は7日、国会議員に対して、軌道に打ち上げた衛星は機能しないため、ロケット発射は弾道ミサイル実験とみなすべきだと説明した。また北朝鮮には大陸間弾道ミサイルの技術があり、5回目の核実験の準備をしているという情報も提供したという。

ロケットの搭載物の重量は推定200キロで、2012年に打ち上げたものの倍だが、人工衛星は通常800~1500キロ。

北朝鮮は2012年に通信衛星の打ち上げ名目で長距離ロケットを発射しているが、専門家たちは何の通信も探知できていないと指摘している。

<分析>ニック・ブライアント、国連本部

英国の大衆紙はかつて「北朝鮮のような問題はどうやって解決するの?」と問いかけた。ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の曲名に掛けたこの問いかけに対する答えは、まだない。北朝鮮が10年近く前に最初の核実験を実施して以来、国連安保理は4回も制裁を科している。

安保理制裁には武器禁輸、資産凍結、渡航禁止、ぜいたく品の制限などが含まれる。豪奢な生活を送る北朝鮮のエリート層を苦しめるのがねらいだ。しかし、一連の制裁で核開発や弾道ミサイルの開発を遅らせることはできたが、阻止には遠く及ばない。制裁は厳密に実施されていないし、幅広い応用もされていない。

米国は今、より強力で包括的な新制裁を安保理に強く求めているが、北朝鮮に最も近い同盟国で最大通商国の中国がこれに抵抗している。

中国政府は新制裁決議の支持を表明する一方で、強力な新制裁が北朝鮮政権の崩壊につながれば国が不安定化し、中朝国境で難民危機が発生すると恐れている。そして北朝鮮政府は、中国のその恐怖を活用できると承知しているのだ。