韓国 北朝鮮による共同事業賃金の核開発流用は不確か

開城工業団地で働く北朝鮮の労働者

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開城工業団地で働く北朝鮮の労働者

韓国のホン・ヨンピョ統一相は15日、北朝鮮との共同事業として運営していた開城工業団地で支払われた賃金が北朝鮮の核開発や贅沢品の購入に流用されていたとの疑惑について、明確な証拠はないと述べ、これまでの発言を後退させた。

統一相は14日に北朝鮮が賃金の7割を流用していると述べていたが、15日には、賃金の用途に「懸念があるのみ」と語った。

韓国は先週、北朝鮮が国連による禁止を無視する形で4回目の核実験や衛星打ち上げを行ったことを受けて、開城工業団地の運営を停止させた。

韓国企業が事業を行う開城工業団地では北朝鮮の労働者数千人が雇用されていた。開城工業団地は、両国の間に残る数少ない協力関係の一つだった。北朝鮮は工業団地の閉鎖が「宣戦布告」に当たると非難していた。

「不十分な説明」

開城工業団地の北朝鮮労働者に支払われる賃金が、まず北朝鮮政府に支払われ、その後バウチャー(クーポン券)や地元通貨の形で労働者に配分されていることは広く知られており、そのうち、どの程度が朝鮮労働党に上納されているかについて、韓国が具体的な数字を示したことはなかった。

しかし、14日にホン・ヨンピョ統一相は7割が上納されているとの「複数の報告」があると指摘し、「核兵器の開発や贅沢品の購入に充てられている」と述べていた。

これを受け、韓国が上納金の用途を認識していたのであれば、韓国自身が国連決議に違反していたのでないかと批判する声が出ていた。

しかし、統一相は15日に国会で、「もし北朝鮮の資金の不正利用がはっきり証明されていたのであれば、関連する国連決議に違反したことになる。ただ、不正利用の懸念があるのみで、明白な証拠があるとは言っていない」と述べた。

統一相は推測による「不十分な説明」だったと前言を謝罪し、北朝鮮の兵器開発計画の「重大性を強調する」ためだったと釈明した。

統一省の推計では、共同事業で合計6160億ウォン(約580億円)余りが北朝鮮に支払われている。

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