エジプトの4歳少年、軍事法廷の「誤審」で終身刑に

アフメド・マンスール・クラニ・アリ君
エジプト軍は22日、軍事法廷が4歳の男の子に殺人罪で終身刑を言い渡したのは間違いだったと認めた。軍報道官は、似た名前の16歳少年が本当の犯人だったと説明した。
4歳のアフメド・マンスール・クラニ・アリ君は、2014年に南東ファイユーム県で起きたムスリム同胞団による暴動に関連して、ほかの被告115人と共に有罪判決を受けた。
アフメド君の弁護士は、アフメド君が当時現場にいなかったことを証明する書類を証拠として提出していた。
軍報道官のモハメド・サミール大佐はフェイスブックで、真犯人はアフメド・マンスール・クラニ・シャララという16歳少年だと書いた。
アフメド君が今後どうなるのかは明らかにされていない。
弁護士によると、容疑者リストにアフメド君の名前が誤って記入され、事件当時の年齢を示す出生証明書を書記官が裁判官に提示しなかった。そのため、アフメド君は、殺人4件、殺人未遂8件と政府資産の破壊の罪で有罪となってしまった。

画像提供, Reuters
4歳児への終身刑判決でエジプトの司法制度は世界の笑い者になったという批判もある。写真はカイロ高裁(1月21日)
軍部が2013年にモルシ政権を転覆して以来、エジプトの司法制度は繰り返し批判されてきた。軍事クーデーター以来、反政府勢力に対する厳しい取り締まりによって、1000人以上が死亡し4万人が収監されたとみられている。
取り締まりの対象となったほとんどがムスリム同胞団の支持者だが、デモ規制法違反を問われて宗教的背景のない活動家も起訴されている。
2014年には国連が、「おびただしい異例の手続きが」認められた集団裁判で1200人以上に死刑判決が下される事態を受けて、「公平な裁判を受ける権利は国際的に保障されているはずだが、エジプトではこれが繰り返し蹂躙(じゅうりん)されている」と警告している。