【米大統領選2016】共和党討論会でトランプ氏を集中攻撃

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マーコ・ルビオ上院議員(左)とドナルド・トランプ氏が互いをかき消すように同時に熱弁
米大統領選の候補選びに向けた大きな山場の「スーパー・チューズデー」を目前にした25日、共和党から出馬している候補たちが討論会に参加した。2位~3位を争う2人の上院議員は、最有力候補の実業家ドナルド・トランプ氏に集中攻撃を繰り広げた。
討論会の主要テーマは、移民、医療、ラティーノ系有権者の支持率だったが、これまでの共和党討論会と同様、怒鳴り合いや個人攻撃に多くの時間が費やされた。
マーコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)は、トランプ氏を批判する新しい論点をいくつか展開。「2億ドルを相続しなかったら、今頃ドナルド・トランプはどうしてると思いますか。マンハッタンの道端で時計を売ってたはずですよ」と、緊迫したやりとりの最中にルビオ氏は相手をこう批判した。
ルビオ氏は、トランプ氏がインターネットで開始したものの頓挫した「トランプ大学」を批判した。さらにトランプ氏が自社の建設事業で米国人ではなく外国人を雇っていることを激しく攻撃。これを受けてトランプ氏は即座に、「私は何万人もの人を雇ってきた。そっちは誰一人、雇ってない」とやり返した。
不動産王のトランプ氏は今回、自分の商取引や保守派としての経歴を批判され、イスラエルを支援しているのかどうかもやり玉に挙げられた。
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ジョン・ケーシック氏(右)はオハイオ州知事としての経験を強調。左はテッド・クルーズ上院議員
他の主なハイライト
・クルーズ氏は、取引が得意と評判のトランプ氏の場合、保守派の判事を最高裁に指名するか信用できないと批判
・司会は所得申告書をを公表するか各候補に質問。クルーズ氏とルビオ氏は数日中に公表すると約束。トランプ氏は明言を避けた。
・マリア・セレスト司会者はトランプ氏に、本選でラティーノ系有権者に支持されると思うか繰り返し問いただした。
・不法移民対策としてメキシコ国境に壁を造り費用はメキシコ政府に負担させると公約しているトランプ氏に、メキシコのフォックス元大統領がそんなものは払わないとコメントしたことについて、トランプ氏は「メキシコに払わせる。たった今、壁は3メートル高くなった」と反論した。
・オハイオ州のジョン・ケーシック知事は、州の財政赤字を克服し、州に新規産業を誘致したなどの成果を強調した。
・元神経外科医のベン・カーソン氏はなかなか発言の機会が得られず、「誰か僕を攻撃してくれないか」と発言。
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カーソン氏はほとんど発言できなかった
トランプ氏は、不法移民全員を強制送還し、イスラム教徒の米国入国を一時的に全面禁止するなど一連の発言でさかんに批判されてきたが、同時にきわめて人気は高い。
4つの州で予備選・党員集会が終わった現時点で、7月の共和党全国党大会で投票する代議員のうちトランプ氏は82人をすでに獲得している。クルーズ氏は17人、ルビオ氏は16人。本選の共和党候補となるには、州代議員1237人以上が必要だ。
3月1日のスーパーチューズデーにおいて、共和党は11州で投票が行われ、595人の代議員が各候補に振り分けられる。
トランプ氏は23日にネバダ州で大勝した後、スーパーチューズデーでもさらに勝つと自信を示し、「ものすごい2カ月になる。本音を言えば、2カ月もかからないかもしれない」と述べた。
<今後の主要日程>
2月27日――サウスカロライナ州 民主党予備選
3月1日――「スーパーチューズデー」、15州・米領で予備選・党員集会
7月18~21日――共和党全国党大会、候補指名
7月25~28日――民主党全国党大会、候補指名
11月8日――米大統領選本選投票