【ブリュッセル連続攻撃】ベルギー警察、6人逮捕

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ブリュッセルの最高裁判所前で警備する警官たち(24日)
31人が死亡した22日のブリュッセル連続攻撃に関連して、ベルギー警察は24日、ブリュッセルのスカルベック地区で6人を逮捕した。逮捕者の身元や事件との関連は明らかにされていない。これに先立ちベルギー政府は同日、実行犯のひとりについてトルコ政府から警告を得ていたが対応しなかったと、不手際を認めた。またフランスでは、攻撃を計画していた容疑者がパリ近郊で逮捕されたという。
ベルギー警察は24日夜、スカルベック地区の住宅を一軒ずつ捜索し、6人を逮捕した。
同じ24日夜、カズヌーブ仏内相は、フランス出身の男性を攻撃計画の疑いで逮捕したと発表。男は国内で攻撃を実行する計画を「かなりの段階まで進めていた」という。昨年11月のパリ連続襲撃は今月のブリュッセル攻撃と関連は見つかっていないという。この逮捕後に、フランス警察はパリ北西アルジャントゥイユで対テロ捜査を実施した。
これに先立ちベルギー政府は24日、ザベンテム空港で自爆死したとされるブラヒム・エルバクラウイ容疑者について、「ミスを犯した」と認めた。昨年夏にトルコ政府がシリア国境付近で拘束し強制送還する際、ベルギー政府とオランダ政府に「外国人のテロ戦闘員」だと警告していたが、ベルギー政府はこれを「無視した」という。
ベルギーのヤンボン内相とヘンス司法相はこれを受けて辞表を提出したが、ミシェル首相は受理しなかった。
ブラヒム容疑者は、ザベンテム空港の防犯カメラがとらえた男性3人のうち中央の人物。自爆死したとみられている。空港では11人が死亡した。
弟のハリド容疑者は、メルベック地下鉄駅で自爆死したとみられている。地下鉄駅では20人が死亡した。
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ザベンテム空港の防犯カメラが撮影した容疑者たち
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ブラヒム・エルバクラウイ容疑者は、トルコ・シリア国境のガジアンテプで拘束された。写真は昨年7月にトルコ警察が撮影。
未確認情報によると、空港で撮影された3人のうち向かって左側にいたのは、ナジム・ラシュラウイ容疑者ではないかとされる。空港で自爆死したとされる。パリ連続襲撃に関連する爆発物から、同容疑者のDNAが採取されている。
向かって右側の帽子をかぶった男性は、身元が特定されていない。空港から逃走したとみられている。
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中央と右の写真がナジム・ラシュラウィ容疑者。左は、ザベンテム空港の防犯カメラ映像から。
メルベック地下鉄駅での攻撃について、当局が2人目の容疑者を追跡しているという情報もある。捜査筋はAFP通信に対して、駅の防犯カメラが、ハリド容疑者の隣で大きいバッグを持った男性の姿をとらえていると話している。
一方で、ベルギーの公共放送VRTは、連続攻撃を計画・実行した過激派勢力の「セル」(組織内の小集団)はそもそもパリ連続襲撃のように、自爆攻撃に銃撃も組み合わせた大規模な攻撃を計画していたという前提で、当局は捜査を進めていると報じた。
「あちこちで追われて」 ベルギー攻撃の容疑者がメモに
【ブリュッセル連続攻撃】ベルギーは欧州テロ脅威の中心に?
ブリュッセルとパリの攻撃のつながりも浮上している。調べによるとハリド容疑者は、パリ連続襲撃の共犯として18日にブリュッセル・フォレ地区で逮捕されたサラ・アブデスラム容疑者が潜伏していたアパートを、偽名で借りていたという。
アブデスラム容疑者は24日、フランスへの身柄引き渡しを受け入れると弁護士を通じて明らかにした。それまでは、引き渡しに抵抗する姿勢を示していた。
ベルギー生まれでフランス国籍を持つアブデスラム容疑者を弁護するスベン・マリー弁護士によると、逮捕後しばらく取り調べに協力していた容疑者は、ブリュッセルの攻撃後は事情聴取に応じなくなっている。ブリュッセル攻撃については何も知らなかったと供述しているという。
アブデスラム容疑者を含む容疑者3人の勾留審判は4月7日まで延期された。
欧州刑事警察機構(ユーロポール)のロバート・ウエインライト長官はBBCに対して、欧州におけるイスラム聖戦主義者のネットワークは「当初恐れていたより広範囲にわたる」と述べた。「欧州で過激化された約5000人が、戦場経験を得るためにシリアやイラクへ渡航し、その一部が欧州に戻ってきている」ことが懸念されているという。