古代遺跡パルミラ奪還 ISによる破壊は

シリア政府軍が奪還した古代都市パルミラ。恐れていたより多くの遺構が残っていたという(27日) Image copyright AFP
Image caption シリア政府軍が奪還した古代都市パルミラ。恐れていたより多くの遺構が無事に残っていたという(27日)

2015年5月に過激派勢力「イスラム国」(IS)がシリアの古代都市遺跡パルミラを制圧してから10カ月たった3月27日、シリア政府軍はパルミラ奪還に成功したと発表した。世界遺産にも指定されている古代遺跡をISがどれほど破壊したのか、その様子が次第に明らかになってきた。

シリア文化財博物館総局のマムーム・アブドルカリム総裁はAFP通信に対して、「最悪を覚悟していた」ものの、遺構のほとんどは無事で「おおかた大丈夫だ」と述べた。一部の貴重な遺跡は破壊されたが、古代都市としての構造は残っているという。

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Image caption 近くの住宅地から見上げるパルミラの城塞(27日)
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Image caption 円形劇場はISが処刑場として使っていた(27日)
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Image caption 博物館では数々の美術品が破壊されていた。シリア国営SANA通信配布写真(27日)
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Image caption パルミラ市議会は破壊されていた(27日)

シリアのアサド大統領はパルミラ奪還を「重要な成果」と称えた。消息筋によると、シリア政府軍はロシア軍の空爆に助けられた数日間の戦闘の末、パルミラを「完全掌握」したという。

ロシア政府報道官によると、プーチン大統領はアサド大統領に祝意を伝えた。ロシア政府によるとアサド大統領は、パルミラ奪還は「ロシアの援護がなくては不可能だった」と承知しているという。

ロシア国防省は26日、ロシア軍は158カ所のIS標的を空爆し、戦闘員100人以上を殺害したと発表した。

ロンドンに拠点を置くNGO「シリア人権監視団」は、パルミラ奪還の戦いでIS戦闘員が少なくとも400人殺害されたとしている。

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Image caption 昨年10月にISが爆破した2000年近く前の凱旋門の残骸
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Image caption 政府軍が奪還した後のパルミラの様子(27日)

ISは昨年5月に古代遺跡と近くの都市を制圧し、40年にわたりパルミラの遺跡を保護・研究してきた81歳の考古学者、ハレド・アル・アスアド氏を殺害した。さらに2000年近く前に建造された神殿などの遺構を次々に破壊し、国際的に非難されていた。ISは隣国イラクでも、イスラム教成立以前の古代遺跡を「偶像崇拝」だとして破壊している。

地元で「タドムール」と呼ばれる現在のパルミラの町は、シリアの首都ダマスカスと東部の都市デイル・アルズールをつなぐ道路の、戦略的に重要な場所に位置する。

古代都市パルミラはこの現在のパルミラに近い、砂漠の中にあり、ユネスコなどは古代世界の記録をとどめる世界で最も重要な史跡と位置付けている。

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Image caption 昨年9月にISが爆破したベル神殿の残骸(27日)
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Image caption パルミラ博物館入り口で破壊されていた彫像
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古代都市パルミラをISから奪還 破壊の後に

パルミラの古代都市遺跡とは

・ユネスコ世界遺産。

・古代世界で重要な文化の中心だった都市の遺構が残る。

・紀元1世紀から2世紀にかけて成立。ギリシャ・ローマ様式に地元の伝統やペルシャの影響が合わさった、文化財や建築が残る。

・大規模な遺構、1000以上の支柱、500以上の墓所を擁する大がかりな共同墓地などがある。

・シリア内戦の前は毎年15万人以上の観光客がパルミラを訪れていた。


Image caption パルミラの位置

(英語記事 Syria civil war: Palmyra damage in pictures

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