【移民危機】ブルガリアの自警団、移民を縛り上げ

BTVニュースサイトよりスクリーンショット

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自警団に腕を縛り上げられおびえた様子の移民たち。BTVニュースサイトよりスクリーンショット。

ブルガリアの自警団が、地面に横になった移民3人を縛り上げているアマチュアビデオ映像が浮上した。ブルガリアのBTVニュースが11日に大きく取り上げた。自警団のひとりは縛った相手に「ノー、ブルガリア。トルコに戻れ」と告げている。

BTVニュースによると、ビデオはトルコ国境に近いストランジャ山地の林で撮影されたもの。

ブルガリア国境警察のアンゲロフ本部長はBTVに対して、移民をこのように民間逮捕することは違法だと話した。アンゲロフ氏によると、ビデオに映った移民3人は自分たちはアフガン出身だと話している。

自警団は少なくとも1人が山刀を持ち、地面に倒された3人の上に立ちはだかり、片言の英語でトルコに戻るよう告げている。移民たちはおびえた様子で、抵抗していない。

ブルガリアはトルコとの国境269キロのうち95キロにわたり、カミソリ刃のついたワイヤーでフェンスを設置している。

自警団称賛の声も

ブルガリアでは今年初めから、自警団が移民危機に関与するようになっている。2月から移民を捉えようとトルコ国境を「パトロール」するようになったバス部品業者のディンコ・バレフ氏は、シリア人男性12人、女性3人と子供のグループを拘束して国民的な人気者になった。この時の掲載電話映像では、地面に倒され警察を待つシリア人たちを、バレフ氏がののしる様子が映っていた。

ブルガリアのニュースサイト「インサイト」によると、ブルガリア国境警察は今月初め、トルコ国境近くで難民23人を拘束した「国境警備ボランティア」を表彰したという。

アンゲロフ氏は、自警団の行動は「きわめて適切だった」と評価する一方で、こうした民間人によるパトロールは「とてもリスクが高い」ため、今後は事前に警察に連絡するようにと呼びかけた。

マケドニア緊迫

一方でブルガリアの隣国ギリシャは11日、イドメニ村からマケドニアへ入ろうとする移民の扱いをめぐり、マケドニアと対立した。

国際医療NGO「国境なき医師団(MSF)」は、マケドニア治安維持部隊が10日に移民数百人に催涙ガスを使用し越境を防ごうとしたと報告している。MSFによると、さらに10歳未満の子供3人を含む30人がゴム弾で撃たれた。イドメニ周辺の国境地帯では11日も、緊迫した状態が続いた。

ギリシャのチプラス首相は、催涙ガスやゴム弾の使用について、このような暴力行使は「ヨーロッパ文明にとって大きな恥辱だ」と厳しく非難した。

しかしマケドニアは、治安部隊はゴム弾を使っていないし、むしろ兵士23人が負傷したと反論。現地警察はギリシャ側に繰り返し国境警備強化を要求してきたと、マケドニア外務省は主張している。

イドメニ周辺では数週間前から移民1万1000人以上が劣悪な条件下で野宿を続けている。

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トルコから北ヨーロッパへ向かうバルカン・ルート。赤線は国境にフェンスが設置された場所。