ブライアン・アダムスさんがコンサート中止 「反LGBT法」成立で

ブライアン・アダムスさんは現在ワールドツアー中

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ブライアン・アダムスさんは現在ワールドツアー中

カナダのロック歌手、ブライアン・アダムスさんは11日、米ミシシッピー州で予定されていたコンサートを中止すると発表した。議論を呼んでいた通称「信教の自由法」が同州で先週、成立したことへの抗議だという。

同法によって、一部の民間事業者や宗教団体が信条を理由として同性愛者に対するサービスを拒否できることになった。これを受けてブライアン・アダムスさんは、同州で公演するのは「良心が許さない」とのコメントを発表した。

アダムスさんはさらに、「性的少数者(LGBT)の市民が差別されるのは理解できない」と述べた。

コンサートは14日に、同州ビロクシのミシシッピー・コースト競技場で開かれる予定だった。

同州のフィル・ブライアント知事が今月5日に法案「HB1523」に署名し、「信教の自由法」が成立した。法案には人権団体や事業者らが反対していた。同法は7月1日から施行される。

同法の下では、結婚や性役割について伝統的な考えを持つキリスト教信者が保護対象となる。ブライアント知事は、「心から信じている宗教信条や道徳観が守られる」と述べた。

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法案に反対する人々が州知事の執務室がある建物前で集会を開いた

アダムスさんは、自身の発信力を使って「この極端に差別的な法案を撤廃するため、LGBTのすべての友人との連帯を示す」とし、「ミシシッピー州が間違いを正し、たくさんのファンみんなの前でまた公演できるようにしてほしい。その日を待ち遠しく思う」と述べた。

アダムスさんの前には、米ロック歌手のブルース・スプリングスティーンさんがノースカロライナ州で先週予定されていた公演を中止している。同州では、LGBTの人が自ら認識する性別に応じて男女のトイレに入ることを禁じる法案が可決されている。

同法をめぐっては、スプリングスティーンさんのほか複数の経済団体が、同性愛者やトランスジェンダーの人たちの権利を保護するこれまでの反差別措置を後戻りさせるものだとして反対している。