中国1-3月期GDPは前年比6.7%増 7年ぶりの低水準

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3月の小売売上高は前年比10.5%増となった(写真は広東省深圳市)
中国国家統計局は15日、1-3月期の国民総生産(GDP)が前年同期比で6.7%増となったと発表した。事前の市場予想と一致したが、四半期の成長率としては7年ぶりの低水準となった。
2015年10-12月期の成長率は前年同期比6.8%増だった。15日の統計でも、世界で2番目の規模を持つ中国経済の成長鈍化があらためて示された。
ただ、一部では予想を上回る成長が見られた。公共工事や企業の設備投資を示す「固定資産投資」は前年同期比10.7%増加した。
3月の小売売上高は前年同期比10.5%増と好調な伸びを示し、消費者が財布のひもを緩めていることがうかがわれた。また、経済を輸出主導から消費主導に転換しようとする中国政府の政策とも一致する結果となった。

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中国政府は輸出主導の経済からの転換を図っている
過去数十年にわたる製造業の旺盛な活動に牽引され、中国は急速な経済成長を遂げ、「世界の工場」として知られるようになった。
しかし、外資系企業が賃金が比較的安い東南アジアに製造拠点を移すなかで、中国の製造業は成長が鈍化。中国経済は昨年、25年ぶりの低成長率となる6.9%を記録した。2014年の成長率は7.3%だった。

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全人代で演説する李克強首相(先月5日)
中国は先月開かれた全国人民代表大会(全人代)で、2016年の成長率目標を6.5%~7%とし、これまでの目標値から引き下げた。
李克強首相は全人代で、「今年の経済成長には、よりたくさんの、より難しい問題や課題が存在する。したがって厳しい戦いにしっかり準備しなくてはならない」と述べた。
全人代は、新たな5カ年計画が承認され、高い債務水準の引き下げや国営企業の効率化、金融市場の改革を打ち出した。

1980年代からの中国の経済成長率の推移(中国国家統計局)
シンガポールを本拠とするコンサルタント会社コンプリート・インテリジェンスのチーフ・エコノミスト、トニー・ナッシュ氏は今年の全人代について、「中国の指導部が問題をかなり把握しており、必要な公共部門の改革を進めているという、確かな前進が感じられた」と評価した。
ナッシュ氏によると、アナリストたちは「全人代で発表された改革の一部が効果を出すのに伴い、第3四半期から安定した状況になる」とみているという。
豪証券会社コムセックのチーフ・エコノミスト、クレイグ・ジェイムス氏は、GDPについて「世界中がホッと安堵の溜息をついている。結果はすべて市場予想を上回るもので、経済のリバランス(再均衡)は計画通り進んでいることが示された」と述べた。
「それどころか、統計数字は驚くほど良いので、成長率が今後も持続可能なのか考えざるを得ない。中国以外の各国が成長率の引き上げに力を入れると期待したい」

<解説>スティーブン・マクドネル記者(北京)
正直言うと、中国で取材する特派員は、この国の経済統計に手を焼いている。どれほど正確なのか分からないからだ。GDPの数字も例外ではない。
一部の省政府や企業幹部は生産に関する数字を水増しして、自らの出世に役立てようとする。一方で、控えめに報告して中央政府の支援をもっと得ようする者もいる。
そのため、電力消費の統計データを使って中国の経済状況を知ろうとするエコノミストがいる。この場合、経済は成長を続けているが、成長率はそれほど高くないかもしれない。
中国は、従来の生産や輸出が減速するなかで、これまでよりずっとサービスや国内消費が中心となった経済モデルに転換しようとしている。これには大規模な雇用流動化を伴う。
長期的に見れば正しい対応かもしれない。政府は持続可能な経済成長を目指していると説明するだろう。しかし短期的には、今後も痛みが伴うというわけだ。
