英ヒースロー空港で「ドローン」が旅客機に衝突、警察捜査

ブリティッシュ・エアウェイズのA320機

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ブリティッシュ・エアウェイズのA320機。同型機にドローンと思われる物体が衝突したという。

英ヒースロー空港に着陸しようとする旅客機に17日午後、飛行物体が衝突する事故があった。ロンドン警視庁は、無人小型機(ドローン)が衝突したとみて捜査に着手した。もしドローンだった場合、英国では初の事例になるという。

調べによると、ジュネーブ発ロンドン行のブリティッシュ・エアウェイズ(BA)機(乗客132人乗員5人)がヒースロー空港に接近中の午後12時50分(日本時間17日午後8時50分)ごろ、何かがエアバスA320の前方に衝突した。安全に着陸した後、機長が報告した。

BAの広報担当は「飛行機は安全に着陸し、整備チームの全面的な点検の後、次のフライトに特に問題はないと判断された」を話した。警察の捜査には全面協力する方針という。

英民間航空局(CAA)の広報担当は、空港の近くでドローンを飛ばすことは「まったく容認できない」と述べた。

英国航空操縦士協会(BALPA)のスティーブ・ランデルス氏は「ドローンが旅客機に衝突するのは時間の問題だった」と指摘。取締規則の徹底を呼びかけた。

ドローンの危険性については、国際航空運送協会(IATA)のタイラー会長が今年初めに警告したばかり。一般市民が操縦するドローンが民間機にとって危険な存在となっているとタイラー氏は指摘し、深刻な事故が発生する前にドローンを規制するよう求めていた。

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・2016年4月17日――ヒースロー空港に接近中のBA機が空中でドローンに衝突したもよう。

・2015年11月28日――ギャトウィック空港の滑走路上約30メートルに浮いていたドローンとA321機がニアミス。

・2015年9月30日――ヒースロー空港接近中のA319機の操縦室から9メートル以内を小型ドローンヘリが通過。

・2015年9月22日――ヒースロー空港を出発したB777機の右舷25メートルをドローンがニアミス。上空2000フィート。

・2015年9月13日――テムズ川上空からロンドンシティ空港に接近中のE170機から約20メートルで、「風船のような」中心部のある銀色ドローンがニアミス

・2015年9月13日――スタンステッド空港離陸直後のB737機の上方5メートルを、ドローンがニアミス。上空4000フィート。

・2015年8月27日――マンチェスター空港に接近中のD0328機から50メートル以内をドローンが飛行。上空2800フィート。

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ヒースロー空港

<分析>リオ・ケリオン、テクノロジー担当編集長

空港の近くでドローンを飛ばすと、最高禁錮5年が科せられることがある。またドローン操縦者が「補助なしの可視範囲外」まで飛ばすことや建物の近くや人ごみの近くでドローンを飛ばすことを禁止する規則もすでに存在する。重さ7キロ以上のドローンを高さ122メートルより高く飛ばすことは禁止されている。

今回の事件は、さらに規制強化を求める圧力を高めるだけだ。

米国ではこのほど、事故現場から回収されたドローンの所有者を必ず特定できるよう、所有者登録を義務付けた。

規制当局はさらに、規制地域で飛行できなくするソフトウエアの実装を義務付けるかもしれない。

運輸省は今年すでに、無人飛行機対策について戦略を発表すると公約している。

航空パイロットたちは、飛行機エンジンがドローンを吸い込んだり、操縦席の窓ガラスにドローンが激突したらどうなるのか試験するための費用を、政府に求めている。

英国航空操縦士協会(BALPA)は3月、鳥が飛行機に激突するバードストライク現象はよく調査されてきたが、ドローンによる機体破損の程度についてデータがほとんど得られていないと指摘している。