フィリピン過激派 人質のカナダ人男性を殺害

画像提供, AFP
殺害されたジョン・リズデルさん
フィリピン南部ミンダナオ島近くのリゾート地で昨年9月にイスラム過激派に拉致されたカナダ人男性が、殺害されたことが分かった。
カナダのトルドー首相は殺害を確認し、「冷血な殺人だ」と非難した。
殺害されたジョン・リズデルさん(68)は、同じカナダ人のロバート・ホールさん、ホールさんの恋人でフィリピン人のマリテス・フロールさん、ノルウェー人のクヤルタン・セキングスタドさんの3人と共に、ダバオ市近くのマリーナで過激派集団「アブ・サヤフ」に拉致され、500キロ離れたジョロ島に連行された。
アブ・サヤフは昨年11月、リズデルさんたちを撮影したビデオを公表。身代金8000万ドル(約89億円)を要求した。リズデルさんはビデオ公表後、身代金が支払われなかった場合には自分は殺害される、と語っていた。
ジョロ島の位置
アブ・サヤフが設定した身代金支払いの期限を過ぎた25日、ジョロ島の道路上に切断された頭が発見された。フィリピン当局は、切断された頭は外国人男性のものだと述べたが、身元の最終的な確認はできていないとした。
カナダでの報道によると、鉱山会社の幹部だったリズデルさんは、仕事を減らしており、ジャーナリストとしても活動していたという。
トルドー首相は、リズデルさんの家族にお悔やみを述べたが、ほかの人質を危険にさらすことになるとして、詳細については語らなかった。
アブ・サヤフは1990年代に武装組織アルカイダの資金協力によって設立され、フィリピンで分離独立運動を行っている。
最近では、アブ・サヤフ司令官のひとりが過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓うと語っている。ISも複数の外国人を人質にしている。
今月には、フィリピン兵士18人がジョロ島近くのバシラン島で起きたアブ・サヤフとの戦闘で死亡している。