アップル1-3月期決算 13年ぶりの減収 iPhone販売減少

iPhoneとユーザー

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米アップルが26日に発表した1-3月期決算では、売上高が前年同期比13%減の505億6000万ドル(約5兆6300億円)となり、13年ぶりの減収となった。

スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売台数は5120万台となり、前年同期の6120万台から減少した。

中国での売上高は26%減となり、特に弱さが目立った。ドル高も逆風となった。

アップル株は時間外取引で8%下落。過去1年間で下落率は20%近くになった。

同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、「マクロ経済の強い向かい風のなか」業績は堅調だと語った。

1-3月期の純利益は105億ドルと、前年同期の135億ドルから減少した。しかし、同社は500億ドルの株主還元を実施するとし、自社株買いを増やし、四半期配当を10%増額すると表明した。

販売減

アップルは今年1月に、iPhoneの注文がこれまでになく伸び悩んでおり、第2四半期(1-3月期)業績の重しになると警告していた。

スマートフォン販売の伸び鈍化は産業全体に影響を及ぼしており、各社は新たな革新的な製品の開発に苦心している。

CCSインサイトのアナリスト、ジェフ・ブレイバー氏は、「携帯端末の隆盛の後、自動車や(家電などをネット経由で操作する)コネクテッドホーム、ヘルス、IoTの産業的な活用といった、次に来るものを待つ踊り場状態にある」と語った。

アップルの業績で好調だったのは、アップル・ストアや、アップル・ペイ、アップル・ミュージックなどのサービス部門で、売り上げは前年同期から20%増加した。

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しかし中国で、中国本土内のサーバーやストレージからのみコンテンツ配信を許可するという規制が先月施行されたことを受けて、アップルは同国内の「iTunes Movies(アイチューンズ・ムービース)」と「iBooks(アイブックス)」を停止しており、同社のサービス部門の業績への悪影響が懸念される。

アップルは中国でサービスの早期再開を目指すとしている。

アップルとFBIの対立

最近では、iPhoneのロック解除をめぐる米連邦捜査局(FBI)とアップルの対立が注目された。

FBIは、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナディーノ郡で起きた銃乱射事件のサイード・リズワン・ファルーク容疑者が所持していたiPhoneのロック解除をアップルに求めていたが、同社は、ユーザーのセキュリティーを脅かす裏口を作ってしまうとして、要求を拒否していた。FBIはその後、外部ハッカーの協力でiPhoneのロック解除に成功している。

<解説>デイブ・リー北米ビジネス担当記事

先進国市場での販売伸び悩みはアップルにとってあまり大きな問題ではない。いつも中国が業績を支え、四半期ごとの最高益更新を実現させてきたからだ。

しかし、中国での売上高が打撃を受けると、会社全体が苦境に陥る。

iPhoneは史上最も成功したテクノロジー製品だが、その衰退はいまや数字が示している。アップルはこのことをすでに3カ月前に警告していたが、実際の数字は投資家にとっては懸念要因だ。

一部では、最近起きていることはハードウエアメーカー黄金時代の終焉の兆しだと指摘されている。桁外れの成功となったスマートフォンもピークを過ぎていると。

新たな人気製品を一番必要としているのは、アップルかもしれない。アップル・ウォッチの四半期ごとの売上高は推計10億ドルだが、それだけでは不十分だ。iPhoneのような大ヒット製品が必要だが、そのような製品が近く出てくる兆候はない。