シリア北部の難民キャンプに空爆 少なくとも28人死亡

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空爆を受けたシリア北部の難民キャンプ(5日)
内戦が続くシリアで、同国北部にある難民キャンプが5日、空爆を受け、少なくとも28人が死亡、50人が負傷した。英国に拠点を置くシリア人権監視団が明らかにした。
空爆を受けたのは、イドリブ県サルマダから4キロ、トルコ国境から10キロの地点にある「カモウナ・キャンプ」で、反政府勢力の支配地域内。
フェイスブックに投稿された写真には、複数の青いテントが焼け落ち、地面からは火がくすぶる様子が写っている。
「世界はどこだ!」 空爆受けたシリア難民キャンプで悲痛な叫び
空爆はシリア政府軍やロシア空軍によるものとの一部情報もあるが、確認はできていない。
シリア北部のアレッポ周辺では、米ロが促す形で、シリア政府軍と反政府勢力との間で48時間の停戦が合意されたばかり。
現地の反政府組織「地域調整委員会(LCC)」も、難民キャンプへの空爆で約30人が死亡、数十人が負傷しているとしている。

空爆を受けた難民キャンプはイドリブ県サルマダ(Sarmada)から4キロの地点にある
米ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、「想像し得るなかで最も絶望的な状況に置かれた人々であり、彼らに対する軍事行動を正当化することはできない」と述べ、空爆を非難した。
英国のフィリップ・ハモンド外相は、「シリアに敵対行為の停止を復活させるという努力をシリア政権が軽視しているのがはっきりした」と語った。

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戦闘で破壊されたアレッポの街並み(5日)
欧州連合(EU)のクリストス・スティリアニデス欧州委員(人道援助・危機管理担当)はツイッターで、「シリア・トルコ国境の難民キャンプに対する衝撃的な爆撃を受け入れることはできない。すでに十分苦しんだ人々にお悔やみを述べたい」とコメントした。
アレッポでの戦闘は、今週初めに過去1年以上で最も激しくなった。シリア人権監視団によると、反政府勢力は3日夜に政府軍が支配する同市西部に進攻したが、4日朝には政府軍に押し戻された。
反政府勢力は4日から戦闘を止め、政府軍はアレッポでの48時間の停戦を5日朝から開始すると発表した。
5日には、政府軍の支配地域に対するロケット弾による攻撃が報告されているが、最近見られたような激しい空爆は止まっていた。
停戦には過激派組織「イスラム国」(IS)やヌスラ戦線は含まれていない。政府軍とジハーディスト(聖戦主義者)集団との戦闘は5日も続き、アレッポの南にあるハントゥマンでの衝突が報告されている。
シリア東部では、ISがシャエル地区のガス田を掌握し、ロシアの空軍機がシリア中央部のパルミラの北西にあるスクナで空爆を実施した。

アレッポ周辺の各勢力図(土色:反政府勢力、緑:政府軍、オレンジ:IS、赤:クルド人勢力)