「ヒールを履いていない」理由に帰宅命じられ ロンドン受付

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ロンドンの大手会計事務所で受付係として下請会社に採用された女性が、ハイヒールを履いていないことを理由に帰宅を命じられたことが明らかになった。

企業受付業ポーティコに臨時採用されたニコラ・ソープさん(27)は昨年12月、ロンドンのPwC(プライスウォーターハウスクーパース)に出社したところ、「高さ5センチから10センチのハイヒール」を履くようにと指示された。ソープさんがこれを断り、男性の同僚たちは同じように指示されていないと不満をあらわにしたところ、日給なしで帰宅を命じられたという。

ポーティコ社はソープさんが「服装規定に同意して署名した」としつつ、今後は規定内容を再検討すると話している。

PwCによると、この服装規定は自社の規則ではないという。

ソープさんは、ハイヒールを履いて丸1日働くのはとても大変なので、出社時に履いていたかかとの平らなきちんとした靴のままでいたいと担当者に頼んだが、ハイヒールの靴を買ってくるよう言われたという。

「平らな靴だと仕事がちゃんとできない理由があるなら仕方がありませんと言ったところ、向こうは説明できなかった」。ソープさんはBBCラジオ・ロンドンの取材にこう話した。

「依頼人を会議室に案内するのが仕事内容だった。シフトは9時間。『それをハイヒールでやるのは無理です』と伝えた」

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Image caption ソープさんは、女性が仕事でハイヒール着用を強制させられないよう法改正を求め、署名を集め始めた

男性でも同じようにヒールを履いて9時間シフトを務めるよう言われるのかとソープさんが尋ねたところ、笑われてしまったという。

自分の経験を友人たちに話し、フェイスブックにも投稿したところ、同じような経験をした女性がほかにもいることを知った。

「逆に非難されたらと怖くて最初は言い出しにくかったけれども、これは声をあげなくてはと思った。もっと大きい問題なので」

ソープさんはこれを機に、女性が職場でハイヒールの着用を強制されないよう法改正を求めるオンライン請願を開始。すでに1万筆以上の署名を集めているため、英政府は何らかの回答をしなくてはならない。

「会社のことを必ずしも悪く思っていない。服装規定を設けるのは雇用主としての権利だし、その服装規定が女性にハイヒールの着用を求めているので」とソープさん。「ただし、服装規定は社会の動きを反映すべきだと思うし、今どきの女性は平らな靴を履いてもきちんとフォーマルに装うことができる」と言うソープさんはさらに、「ハイヒールは疲れるというほかに、性差別の問題もある」と指摘する。

「企業は女性従業員を性的に差別すべきではないと思う」

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Image caption ポーティコ社はこのオフィス受付でハイヒールの着用をソープさんに求めた

現行の法律では、企業は「合理的な」服装規定の内容に従わない従業員については、適切な服や靴を用意するのに必要な時間を与えた上で、解雇することができる。また男女に対しては、「同水準のきちんとした身だしなみ」を要求する限り、個別の規定は異なっても構わないことになっている。

ポーティコ社のサイモン・プラット社長は、「サービス業界で服装規定を設けるのは一般的」で、ソープさんは内容に同意していたと話す。

「顧客に対面するスタッフが常にきちんとした身なりをして、クライアントのブランドやイメージを確実に良い形で示すため、服装規定は役立つ」とプラット氏は指摘する一方で、「靴についての意見を参照し、規定を点検するつもりだ」と話した。

PwCの広報担当は、ポーティコ社と服装規定について話し合っているところだと説明した。「PwCは受付業務を外注している。我々がこの問題に気づいたのは5カ月後の5月10日のことだった。PwCは男性・女性を問わず従業員に特定の服装規定を設けていない」。

(英語記事 London receptionist 'sent home for not wearing heels'

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