非常事態宣言下のベネズエラ、野党指導者が軍に選択迫る

野党指導者のカプリレス・ミランダ州知事(写真右、先月29日)

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野党指導者のカプリレス・ミランダ州知事(写真右、先月29日)

経済混乱が深刻化するなか非常事態が宣言されたベネズエラで、野党指導者のエンリケ・カプリレス氏は17日、軍に対して「憲法に従うか、マドゥロ(大統領)に付くか」の選択を迫った。

マドゥロ大統領は13日に60日間の非常事態を宣言。軍と警察に、国内の混乱に対応するため、より大きな権限を付与した。

カプリレス氏は、非常事態宣言によって大統領が憲法で許されていない権力を得ていると批判。非常事態宣言を無視して街中で抗議するよう、国民に促した。

同氏は記者団に対し、「我々ベネズエラ人は宣言を受け入れない。マドゥロが憲法を超えた存在になろうとしている」とし、「非常事態を敷くためには、彼は戦車や戦闘機を展開する準備をすべきだろう」と語った。

その上で「軍に告げる。真実の時は迫っている。憲法に従うか、マドゥロに付くかを決める時だ」と述べた。

「国民投票はせず」

カプリレス氏は、野党は軍にクーデターを起こすよう求めているのではなく、むしろリコールを問う国民投票という、合法的で憲法に沿った方法でマドゥロ大統領の退陣を求めているとした。

非常事態宣言は当初の60日間の後、さらに60日間延長することができる。

野党が多数派となっている議会は17日夜、非常事態宣言を拒否。しかしマドゥロ大統領は、議会の意向には応じないとしている。

首都カラカスで外国人記者との会見に応じたマドゥロ大統領は、議会が「政治的な正当性を失った」とし、「消滅するのは時間の問題だ」と述べた。

マドゥロ氏は外国メディアが反政権運動を支援していると非難した

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マドゥロ氏は外国メディアが反政権運動を支援していると非難した

マドゥロ氏はさらに、野党が集めていた国民投票を求める請願書が締切りに間に合わなかったとして、署名は偽造されたものだと非難した。

野党政治家らは2週間前に185万人が署名した請願書を提出した。署名者の数は国民投票の手続きを開始するのに必要な有権者の1%という条件を優に超えている。

同国憲法の規定では、大統領の進退を決める国民投票は、2回目の請願書に有権者の20%にあたる約400万人超の署名が集まった場合に実施される。

しかし政府はこれまでに、国民投票は実施されないとの立場を明確にしている。

「外国の介入」

マドゥロ大統領は、米国がベネズエラ国内に軍を展開し、自身を退陣させようとしていると批判。外国人記者らに対し、米軍機が先週、2回に渡ってベネズエラの空域を許可なく侵犯したと語った。

また、外国の政治家たちやメディアがベネズエラで混乱の種をまき、介入を正当化しようとしていると述べた。

マドゥロ氏は、「一連の動きには中心がある。マドリッド(スペイン政府)、マイアミ(亡命者社会)、ワシントン(米政府)の枢軸が存在する」と語った。

ベネズエラ経済は度々の停電でさらに苦境に陥っている

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ベネズエラ経済は度々の停電でさらに苦境に陥っている

同氏はさらにブラジルで行われているルセフ大統領の弾劾裁判にも触れ、外国勢力によるクーデターだと述べた。

チャベス前大統領から後継指名されたマドゥロ氏は、2013年にチャベス氏の死去を受けて実施された選挙で当選した。任期は6年。