拉致少女2人目を救助 ナイジェリア軍

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19日の作戦で2人目の女子生徒が助け出された
ナイジェリアで多数の女子生徒が過激派組織「ボコ・ハラム」に拉致され行方不明となっていた事件で、同国軍は19日、2人目の少女を救出したと発表した。17日には最初の1人が救出されている。
ナイジェリア陸軍の報道官サニ・ウスマン大佐によると、拉致されていたセラ・ルカさんは、同国北東部のボルノ州での作戦で96人の女性や子どもと一緒に助け出されたという。
2人目の救出を受け、2014年4月14日にナイジェリア北東部の学校から拉致された女子学生の行方不明者の数は217人になる。
ウスマン大佐は発表文で、「作戦中に部隊はボコ・ハラムのテロリスト35人を殺害し、いくつかの武器・弾薬などを取り戻した。加えて、捕虜にされていた97人の女性と子どもを救出した」と述べた。
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ブハリ大統領(写真中央)と面会したアミーナさん(19日)
19日には、17日に救出された女子生徒アミーナ・アリ・ヌケキさん(19)が首都アブジャでブハリ大統領と面会した。ブハリ大統領は、アミーナさんが戻ってきて教育をまた受けられるのを非常に嬉しく思うと述べた上で、「しかし、少女がこんなに若い時に恐ろしい体験をしなければならなかったのを考えると、一方で深い悲しみも感じる」と語った。
アミーナさんは生後4カ月の赤ちゃんと共に、カメルーン国境近くの広大な森林サンビサ・フォレストで、軍が支援する自警団に発見された。
ボコ・ハラムのメンバーとみられている容疑者がアミーナさんと一緒にいた。
アミーナさんが発見されたサンビサ・フォレスト(Sambisa Forest)はカメルーン国境近くにある
2014年当時、ボコ・ハラムが学校の寮を襲撃したのは夜遅くで、276人の女子生徒がトラックに載せられた。数時間後には50人が脱出に成功。多くはトラックから飛び降り、道路近くの茂みに逃げ込んだ。
今年4月にCNNテレビが放送した映像では、一部の少女が生存しているのが分かった。黒い服を着た15人の少女が、良い待遇を受けているが家族とまた一緒に生活したい、と語っていた。
2015年の12月25日に撮影されたとみられる映像を見た生徒の親たちが、映像に出てくる一部の少女の身元を確認していた。
拉致事件を受けて、女子生徒たちの救出を求める国際的な運動「#BringBackOurGirls」が生まれ、オバマ米大統領のミシェル夫人やパキスタン人の活動家マララ・ユスフザイさんが運動を支援してきた。
救出を訴える団体「パスファインダース・ジャスティス・イニシアティブ」は、アミーナさんの救出を受けて、拉致された生徒の家族の間には「新たなエネルギー、希望、興奮が沸き起こっている」と述べた。
同団体のイボン・イダホサ事務局長はBBCに対し、ナイジェリア政府が、まだ捕虜にされている生徒たちの救出に一層の努力をしない「言い訳はできない」と語った。同氏は、「彼ら(家族)は喜んでいるが、同時に、これまであまりに失望させられている」と述べた。
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拉致された少女らの救出を訴える人々(今年1月)
ボコ・ハラムとは
・2002年の組織化当初は、西洋式の教育に反対する集団だった。「ボコ・ハラム」とは現地のハウサ語で「西洋の教育は禁じる」という意味。
・2009年に武装活動を開始。
・戦闘でナイジェリア北東部を中心に、数千人が死亡している。
・過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)に合流し、現在はISの「西アフリカ州」を自称する。
・ナイジェリア北東部で広範な支配地域があった。
・しかし、昨年は政府軍が大方の地域を取り戻している。