世界最長・最深のトンネル スイスで開通へ

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73種類に及ぶ岩石の掘削が必要だった(写真は2010年撮影)
スイスで20年近く建設が続いていた世界最長で、最も地中深くを通るトンネルが1日、正式に開通する。
全長57キロに及ぶ2本が対になったゴッダルド・ベース・トンネルには、欧州北部と南部を結ぶ高速鉄道が敷設される予定。
スイス政府は欧州の物流に画期的な変化をもたらすとしている。現在は年間約100万台のトラックで運ばれている貨物が鉄道に切り替えられると予想されている。
ゴッダルド・ベース・トンネルは、全長53.9キロある日本の青函トンネルを抜いて世界最長のトンネルとなる。2位から3位に順位を下げるのは、50.5キロの英仏海峡トンネル。
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ゴッダルド・ベース・トンネルの北側の入り口周辺
1日の開通式にはドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相が出席する。
120億ドル(約1兆3200億円)以上に上るトンネル建設費は、1992年に実施されたスイスの国民投票で承認を受けている。
有権者は当時、スイスを通る貨物すべてを2年後にトラックから鉄道に切り替えるという複数の環境団体による提案を支持していた。
完成したトンネルは地表のアルプス山脈から最深2300メール地下を通る。周りの岩石の温度は時に摂氏46度まで上昇する。
技術者らは、73種類に上る岩石を掘削。花こう岩のように硬いものから、砂状のものまで様々あった。2800万トン以上の岩石が掘り出された。建設中に9人の作業員が命を落としている。
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トンネル内には石工などの守護聖人、聖バルバラの像が安置されている
トンネルは今年12月に全面的な利用が始まる予定で、チューリヒとイタリア・ミラノを結ぶ旅客鉄道の所要時間は2時間40分と現在よりも1時間短縮される。
貨物鉄道約260本と旅客鉄道約65本が毎日トンネルを通過する予定。通過にかかる時間は最短で17分だという。
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貨物鉄道約260本と旅客鉄道約65本が毎日トンネルを通過するようになる