サッカー欧州選手権 ストによる妨害を仏大統領が警告

フランス政府は安全確保とストライキの両方に同時に対応しなくてはならない(写真は9日のパリ市内)

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フランス政府は安全確保とストライキの両方に同時に対応しなくてはならない(写真は9日のパリ市内)

フランスのオランド大統領は9日、10日に開幕するサッカーの欧州選手権(ユーロ2016)が労働組合によるストライキによって妨害される可能性があると警告した。

同国では雇用や解雇を容易にする労働法改正への抗議など、労組運動が活発になっている。鉄道従業員によるストで、パリ近郊で10日に開かれる欧州選手権の開幕戦が影響を受ける可能性がある。

10日夜にはフランス対ルーマニア戦がパリ近郊サンドニのスタッド・ド・フランスで開かれる。鉄道従業員らは、競技場に向かう路線でストを実施すると警告した。

パリを含むフランス各都市で、労組組合員がごみ焼却炉を封鎖するなどしたため、街中にごみ袋が回収されずに放置されている。パリ当局によると、3000トン近くのごみが未回収の状態だという。

さらに、昨年11月にパリでイスラム教聖戦(ジハード)主義者らによる連続攻撃事件が起きて以来、国内に厳戒態勢が敷かれているほか、最近の大雨による洪水被害からも復旧途上にある。

オランド大統領は、欧州選手権を滞りなく開催できるようにする責任が全国民にあると述べた。同大統領は、「すべての人の責任感に訴えたい。もし国家が責務を果たさなくてはならないなら、そして責務は果たすが、国家はそのために必要なあらゆる措置をとるからだ」と語った。

「同時にこの大イベントが、大勢が共有する人気のお祭りとして成立するには、抗議行動に参加したり行動を組織したりする人全員が責任を担わなくてはならない」

ティエリ・ブライヤール・スポーツ担当相は、労働組合員にサッカーファンのことを考えるよう求めた。同相は、「時と場合によってはストをしても大丈夫だが、今は大会目前で、(ストが決行されれば)一部のファンが競技場に行けなくなってしまう」とし、「そんなのはおかしい」と語った。

しかし鉄道運転手で、フランス労働総同盟(CGT)のリヨン駅支部書記長を務めるベランジェール・セルノン氏は強気な姿勢を崩していない。セルノン氏は、「予定を決めたのは我々ではない」とし、「ユーロ(2016)がこの日に始まると我々が決めたわけではない。いま起きているのは社会の変化だ。(労働の)改革は続き、労働法問題は続く」と語った。

「労働協約をめぐる交渉はすべての人に開かれているようにしたい。だから、そうだ、これは明らかにユーロに影響するし、我々はストを続ける」

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開催期間が1カ月にわたる欧州選手権を前に警戒態勢が強化されている