フランス警官殺害 「ISの命令で」

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13日にパリ郊外で殺害された警官ジャン・バティスト・サルベンさん(右)とパートナーで警官のジェシカ・シュナイダーさん。
フランスのパリ郊外マニャンビルで13日深夜に警官とパートナーが刺殺された事件で、捜査当局は容疑者が、過激派のいわゆる「イスラム国」(IS)による「異教徒を殺せ」という命令に従っていたという見方を示した。警察特殊部隊との銃撃戦で殺害されたラロッシ・アバッラ容疑者(25)は、ISのアブ・バクル・アル・バグダディ指導者に忠誠を誓っていたという。
仏メディアによると、事件でジャン・バティスト・サルベンさん(42)とパートナーで警官のジェシカ・シュナイダーさん(36)が死亡。カップルの幼い息子は保護されたが、ショック状態にあるという。
IS系通信社アマクは、アバッラ容疑者が犯行を認めるビデオを公表。11分間のビデオで容疑者は、押し入った警官宅で自分を録画している様子。容疑者は、サルベンさん宅前でサルベンさんを刺した後、家に押し入りサルベンさんのパートナーと息子を人質に立てこもった疑い。ビデオはこの最中に録画されたものとみられる。
ビデオで容疑者は、フランス国内のムスリム(イスラム教徒)に、警官や刑務所看守、ジャーナリスト、政治家、自治体首長を狙うよう呼びかけている。中でも、フランスの著名ジャーナリスト数人を名前を挙げて特定した。またフランスで開催中のUEFA欧州選手権(ユーロ2016)にも、脅すように言及した。
容疑者が警察に射殺される前にフェイスブックに投稿したビデオと同じものとみられる。ビデオはフェイスブックからすでに削除されているが、その中で容疑者はISに忠誠を誓っていた。ビデオを見たフランスの聖戦専門家、ダビド・トムソンさんによると、人質にした男の子をどうしようかまだ決めていないと話しているという。
調べによると、シュナイダーさんは、刃物で喉を切られて死亡した。
オランド仏大統領は、アバッラ容疑者の犯行を「テロ行為」と呼び、フランスは未だに「重大な脅威」に直面していると述べた。
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ラロッシ・アバッラ容疑者と思われるフェイスブック上の写真。容疑者は2013年にイスラム過激主義組織と関わった罪で禁錮刑を受けた。
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緑あふれる郊外住宅地マニャンビルに警察が集結した(14日)
サルベンさん宅に立てこもり警察と交渉している間、アバッラ容疑者は自分が3週間前にISのバグダディ指導者に忠誠を誓ったのだと話したという。
調べによると、13日午後8時半ごろ、容疑者は自宅前でサルベンさんを襲い、9回刺した後、家の中に押し入り、パートナーと息子を人質にとった。午後8時52分にフェイスブックに犯行声明を投稿。午後9時半に国家警察特別介入部隊(RAID)が現場に到着。容疑者が家を爆破させると脅したのを受け、深夜零時ごろにRAIDが突入し、容疑者を射殺した。
バルス仏内相は事件について、「恐怖の度合いという意味で、分水嶺だ。公務員2人の自宅が、その親密な家庭生活が標的にされた」と批判した。
容疑者は2013年、パキスタンで聖戦のための戦闘員を勧誘した罪で禁錮刑となった。
最近では、盗聴を含む警察監視の対象となっていた。関係者3人が逮捕されている。
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パリ郊外マニャンビルの事件現場に突入した国家警察特別介入部隊(RAID)(14日未明)
フランスは130人が死亡した昨年11月のパリ連続襲撃以来、非常事態の宣言下にある。ユーロ2016が10日から始まったため、厳戒態勢を敷いている。
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パリ郊外マニャンビルの事件現場に到着した国家警察特別介入部隊(RAID)
マニャンビルの位置

仏警官を刺殺し家族を人質に 男は「ISに忠誠」と
フランス当局によると、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う男が13日夜、首都パリ郊外マニャンビルで警官を刺殺し、警官の家族を人質にとった。現場に突入した警察が、男を殺害した。