金正恩氏「ミサイルで米国への攻撃可能に」

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金正恩委員長はミサイルの発射実験に立ち会ってきた(写真は今年3月に朝鮮中央通信が配信した写真)
北朝鮮が22日朝に実施した中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験をめぐり、同国の国営朝鮮中央通信は23日、金正恩朝鮮労働党委員長が「米国の権益を攻撃する本当の能力」を手に入れたと語ったと報じた。
米国と韓国によると、2発の発射実験のうち、1発目は失敗したものの、2発目は約400キロまで飛行し、高度1000キロまで上昇した。
国連安全保障理事会は緊急会合を開く予定。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の報道官は、発射実験は北朝鮮が負っている国際的義務の「意図的かつ非常に深刻な違反」だと述べた。
北朝鮮が続ける核兵器と通常兵器の開発計画を受けた現在の安保理決議は、北朝鮮による弾道ミサイル技術の使用を禁じている。
「偉大なこと」
朝鮮中央通信は、22日の発射実験が近隣諸国を危険にさらすことなく成功裏に実施されたと伝えた。
発射実験にいつも通り立ち会ったとされる金正恩氏は、実験によって核攻撃能力が増したとして、「偉大なこと」だと述べた。金氏は、「太平洋戦域で米国を全体的かつ実質的な方法で攻撃する確実な方法を手に入れた」と述べた。

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「ムスダン」の飛行距離は、限界まで試されたことはないが最大4000キロあるとみられている
北朝鮮国外の専門家は、「ムスダン」の飛行距離は最大4000キロとみており、米軍基地のある米領グアムに到達できる。しかし実際には、最大飛行距離が試されたことはない。
最近数カ月に実施された合計5回の発射実験のうち4回は失敗している。
北朝鮮の東側の海岸から発射された22日の実験では、1発目は約150キロを飛び、海に落ちたとみられる。累計で5回目になる2発目の実験は1発目の数時間後に実施され、少なくとも400キロ飛び、高度1000キロまで上昇した。
朝鮮中央通信は、発射実験によって「戦略兵器システムの開発に向けた科学的立証ができた」と述べた。
韓国は今回の発射実験が成功したのか正式な見解を明らかにしていない。

「ノドン(Nodong)」など北朝鮮のミサイルの推定射程(出典:ジョージ・C・マーシャル研究所)
しかし、韓国の国営科学技術政策研究所の専門家は、成功だとみるべきだと指摘し、「北朝鮮が発射したミサイルでこれほどの高度を達成したミサイルはない」と語った。
日本政府は、「一定の能力」が示されたとし、日本国土に到達できる飛行距離を持つ弾道ミサイル能力をさらに高める可能性があると指摘した。
相次ぐミサイル発射実験に加えて、北朝鮮は1月に4度目の核実験を行っている。
しかし、ミサイル搭載可能な小さい核爆弾を作る技術を持つという北朝鮮の主張は疑問視されている。