ボーダフォン 英国からの本社移転も

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英携帯電話大手ボーダフォンは28日、英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐる交渉の結果次第では、現在ロンドンにある本社を国外に移転する可能性があると警告した。
同社は複数のメディアにあてた電子メールで、EUの人や資本、モノの自由な移動が同社の成長を後押ししたと指摘。「長期的な視点での本社の位置についてきちんとした結論」を出すのは時期尚早としながらも、「適切と考える決断をする」と述べた。
英国がEU離脱を決めた23日の国民投票を前に、BBCのインタビューに応じた同社のビットリオ・コラオ最高経営責任者(CEO)は先週、英国がEUから離脱すれば、デジタル関連サービスの新たな巨大な単一市場を作る計画から外されるリスクが生じると語っていた。
同社の英国内の従業員数は1万3000人。ロンドン本社のほかに、ロンドンの東にあるニューベリーに運営部門を置いている。
ボーダフォンによると、前年度の連結純利益のうち55%が欧州事業からで、英国はわずか11%だった。同社は決算書をポンドベースではなく、ユーロベースに変更する予定。
ボーダフォンは、EU加盟国の法制度の共有や人や資本、モノの自由な移動は、「どのような汎欧州事業にとっても、なくてはならないもの」だとした上で、「英国の欧州連合からの離脱手続きが完了した後、どのくらいこの有利な特徴が維持されるのか現時点では不明」と指摘した。
ボーダフォンはFTSE100種総合指数の採用銘柄で7番目に大きな企業。26カ国で事業を展開しており、10万8000人を雇用している。
サイジド・ジャビド民間企業・技術革新・技能相は28日、財界代表らとの会合を開き、英国のEU離脱について協議した。
会合後に記者会見したジャビド氏は、「最も大きな問題として挙がったのは、単一市場へのアクセスを確保することだった。約束ができる立場にはないが、今後の交渉で私の一番重要な優先事項になると皆に保証した」と述べた。
英産業連盟(CBI)のキャロリン・フェアバーン事務局長は会合後に記者団に対し、今後の計画が政府にあると言うには「程遠い」と述べた。フェアバーン氏は、「企業の間には、現実的かつ真剣な、非常に強い懸念がある」と語った。