バグダッド自爆攻撃、270人以上死傷 3日間の服喪

3日には葬儀が相次いだが、多くの遺体はまだ身元が確認されていない(3日、イラク・ナジャフ)

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3日には葬儀が相次いだが、多くの遺体はまだ身元が確認されていない(3日、イラク・ナジャフ)

イラクの首都バグダッドで3日午前零時ごろ、大規模な自爆攻撃があり少なくとも125人が死亡し、約150人が負傷した。政府は3日間、喪に服すと発表した。

ラマダン(断食月)明けの休日を前に買い物客でにぎわうカラダ地区で、爆発物を積んだトラックが爆発した。周囲には家族連れが多く、救助隊によると、全員が一気に犠牲になった家族も複数いる。また多くの遺体は、見分けがつかないほど焼かれて損傷しているという。

過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

現場周辺を3日にアバディ首相が訪れると、多くの住民が車列に向かって怒りをあらわにした。首相府は後に、3日間の服喪を発表すると共に、首相は住民の怒りを理解しているとコメントした。

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イラク・バグダッド自爆攻撃 市民守れない政府に怒り

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カラダ地区で遺体を運び出す人たち(3日)

2日から3日に日付が変わるころに起きた自爆攻撃は、今年のイラク最悪の規模。政府軍がISから中部の主要都市ファルージャを奪還してから1週間の節目に起きた。

繁華街ハディ・センターの入り口近くに停まっていた保冷車が爆発したという情報もある。爆発直後の現場映像には、あたり一面が炎に包まれている様子が映っている。

イラク民間防衛隊のひとりはAFP通信に対して、「犠牲者の遺体回収には数日かかる。困難な作業だ」と話した。「犠牲者名簿には、父親と息子と母親と娘というように、家族がまるごと爆発で吹き飛ばされてしまった例もある」。

イスラム教シーア派住民の多いカラダ地区での爆発から間もなく、同じようにシーア派の多いバグダッド北東部でも爆発があり、さらに5人が死亡した。

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自爆攻撃現場(3日、バグダッド・カラダ地区)

独自の過激なイスラム教スンニ派の教義を信奉するISは、カラダ地区での攻撃は「継続中の治安活動の一環」としてイラク人が実行したとインターネットで声明を出した。

米政府は3日、この攻撃を受けて、ISと戦うイラク軍を引き続き支援するべく決意を新たにしたと声明を出した。ホワイトハウスは、イスラム国の別名「ISIL」という呼び方を使い、「イラクの人々や政府と引き続き団結して、ISILを破壊するため協力していく」と強調した。

イラク担当のクビシュ国連事務総長特別代表は、「言語道断な卑怯で卑劣な行為だ」と自爆攻撃を非難し、「戦場で敗退した(IS戦闘員たちが)弱い立場にある市民を狙って失地回復しようとしている」と述べた。

アバディ首相は、バグダッドなど各地の車両検問システムを改良すると共に、いまだに使われている見せかけの爆弾探知機の使用をやめさせると発表した。

2016年にこれまで起きたIS攻撃

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6月9日――バグダッド市内と近郊の計2カ所で自爆攻撃が相次ぎ、少なくとも30人が死亡。

5月17日――バグダッド4カ所で爆発が相次ぎ、69人が死亡。4カ所のうち3カ所は、シーア派地区だった。

5月11日――バグダッドで自動車爆弾により93人が死亡。このうち64人はサドル・シティのシーア派地区の市場で犠牲になった。

5月1日――南部サマワの2カ所で自動車爆弾が爆発し、少なくとも33人が死亡。

3月26日――中部イスカンダリヤの競技場でサッカー試合中に自爆攻撃があり、少なくとも32人が死亡。

3月6日――中部ヒッラの検問所でタンクローリーが爆発し、47人が死亡。