次の英首相は女性に 保守党党首選決選はメイ氏対レッドソム氏

英国に2人目の女性首相が誕生する。与党・保守党の党首選第2回予備投票が7日行われ、テリーザ・メイ内相とアンドレア・レッドソム・エネルギー担当閣外相が決選投票で戦うことになった。
欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票の結果を受けて、残留派のキャメロン首相が辞意表明したための党首選。保守党下院議員が投票する2回目の予備投票で、メイ氏は199票、レッドソム氏は84票、離脱派の「顔」だったマイケル・ゴーブ司法相は46票で、上位2人が決選に進むことになった。国民投票でメイ氏は残留、レッドソム氏は離脱をそれぞれ主張していた。
決選投票では保守党党員約15万人全員が郵便、あるいはオンラインで投票することができる。結果は9月9日に発表される。
予備投票の結果を受けて、メイ内相は党内各派の支持を獲得できたと述べ、党内を団結させると約束。複数の閣僚と影の閣僚ポストを歴任してきたメイ氏は、また英国のEU離脱交渉で「強力で確かな指導力を発揮」し、英国を「特権的な少数の人だけでなく全員のためにうまく機能する国にする」と抱負を述べた。
レッドソム氏の選対委員長をつとめるティム・ロウトン下院議員は、レッドソム氏は首相官邸に「豊富で新鮮な才能」を持ち込むと主張。閣外相ではあるものの閣内ポストの経験がないことについては、金融業界など政界の外で積んできた様々な経験を生かして「何の問題もなくただちに(首相の)役割を果せる」と強調した。
敗退したゴーブ司法相は、決選投票にまで至らなかったのは「もちろん残念」だが、残る2人は「強力な政治家だ」と評価した。また英国にサッチャー元首相に次ぐ2人目の女性首相が誕生することを歓迎し、「落ち着いて幅広い、前向きで楽観的な討論」を求めた。
ゴーブ氏はどちらを支持するとは言明しなかったが、これまでゴーブ氏を支持してきたモーガン教育相やバイジー文化閣外相はメイ氏支持に回った。
レッドソム氏の上司にあたるアンバー・ラッド・エネルギー相は、メイ氏支持を表明。レッドソム氏は政府内の経験が不十分だと指摘し、「閣僚経験がない上に、閣外相としてもほとんど経験を積んでない。わずか2年しかやっていないのだから。それはこの段階では問題だと思う」と批判した。
一方で、レッドソム氏を支持してきたイアン・ダンカン・スミス前雇用・年金相は、今後数週間のうちにレッドソム氏は「上達」し、さらに「どんどん良くなる」と応援。ほかにも、離脱派の「顔」で一時は次期首相の最有力候補とされたボリス・ジョンソン前ロンドン市長(現・下院議員)や、イギリス独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ氏も、レッドソム氏支持を表明している。
保守党党首選の決選投票では、6月9日までに保守党党員になっていた人が投票できる。
投票用紙は8月半ばに党員に郵送され、投票は9月9日正午に締め切られる。
開票は手作業ではなく電子集計による。
選挙研究を専門とするストラスクライド大学のジョン・カーティス教授は、保守党党首の決選投票に参加できるのは「英国の中でも極めて特徴的な属性の集団だ」と指摘。そのほとんどが50歳以上で、男性に偏り、「圧倒的に中流階級だ」という。