マリーがウィンブルドン制覇 英国人の複数優勝は81年ぶり

マリーのグランドスラム制覇はこれで3回目

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マリーのグランドスラム制覇はこれで3回目

テニスのウィンブルドン選手権男子シングルスの決勝戦が10日に開かれ、秀逸なプレーを見せたアンディ・マリー(英国)がミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を下し、2013年の初優勝に続く2回目の優勝を果たした。英国人選手が複数回優勝するのは、1935年のフレッド・ペリー以来81年ぶり。

スコットランド出身で29歳のマリーは、強力なサーブに定評のあるラオニッチに6―4、7―6、7―6で勝利。「トロフィーをまた手にできて誇らしい」と語った。

グランドスラム4大会では3回目の優勝となる。

特に特別な勝利

2012年の決勝戦でロジャー・フェデラー(スイス)に敗退した際の涙の会見は有名だが、その1年後には、英国にとって77年ぶりとなる男子シングルスでの優勝を果たした。今年も2回目優勝への期待が高まるなかで関心が集まっていた。

ライブビューイング会場の入場チケットでさえ、試合前夜から大勢が行列。センターコートの貴賓席では、ウィリアム王子夫妻のほか、ビヨン・ボルグやステファン・エドバーグ、ボリス・ベッカーといった往年の名選手など各界の著名人が肩を並べて観戦した。

決勝戦を制したマリーは「毎年、ここが一番大事なトーナメントだ」と述べた。「ここで素晴らしい瞬間をいくつか経験しているが、つらい敗北もいくつかある。つらい敗北があればこそ、勝利がとりわけ特別に感じる」。

高まっていた優勝見通し

今回はマリーにとって11回目のグランドスラム決勝戦だったが、そのうち10回はノバク・ジョコビッチかロジャー・フェデラーとの対戦だった。下馬評でマリーの方が有力視されるのは、今回が初めてだった。

マリーはその立場を楽しんでいる様子で、記録的な勝利の重圧をはねのけ、ラオニッチとの対戦で6回連続の勝利を決めた。

25歳のラオニッチには、名選手として知られたジョン・マッケンローがコーチとして付いていた。一方のマリーは、マッケンローのライバルだったイワン・レンドルがコーチだった。

ラオニッチの強力なサーブを安定して打ち返したことが、マリー勝利の鍵となった。

ラオニッチのサーブは今大会最速の時速147マイル(約237キロ)を記録したが、マリーは素晴らしいパスを決め、ここでも得点した。

ラオニッチは、「動きがものすごく良かった。リターンも良かった。この二つが彼の一番の強みで、とても良いプレーをしていた」と語った。「彼と対戦するときは、ノバク(・ジョコビッチ)と同じように、誰よりもリターンが入ると分かっている」。

<識者の見方>

ボリス・ベッカー氏(ウィンブルドンを3回制覇)

明らかに、最初(の優勝)が一番大変で、足がかりが得られれば、もっと続く。マリーは29歳で、選手キャリアの頂点にいるので、今後も数回グランドスラム決勝戦に登場するのは確かだ。

ほかの種類よりも芝のコートに慣れているだけに、ウィンブルドンでは非常に怖い選手であり続ける。ハードコートも得意なので、あと何回かは優勝するだろう。

パット・キャッシュ(1987年のウィンブルドンで優勝)

アンディにとってほぼ完璧なトーナメントだった。とても特別だった。(ジョーウィルフリード・)ツォンガに1セットを許したのがちょっとした玉にきずかもしれないが、(それ以外は完璧な大会など)そうそうあるものじゃない。