南スーダンの大統領と副大統領が戦闘停止を命令 両派の対立激化で

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多くの市民が国連施設内に避難した(国連南スーダン派遣団撮影)
アフリカの南スーダンで、キール大統領支持派とマシャール副大統領支持派の間で戦闘が数日間続いていることを受けて、大統領と副大統領は11日、戦闘停止を命じた。
今月7日以来、戦闘で200人以上が死亡したとされる。銃撃で始まった両派の対立は、重火器や戦車、ヘリコプターを使った戦闘に発展している。
国連安全保障理事会は、多くの市民の安全が脅かされているとして戦闘停止を求める声明を出していた。
全会一致で承認された声明では、戦闘を「極めて強い調子で」非難し、国連施設への攻撃について「特に強いショックと怒り」を表明した。
大統領による停戦命令が現地時間の11日午後6時(日本時間午前零時)に発効した後も、激しい銃撃の音が首都ジュバで聞かれており、事態が収束しているかは明らかではない。
アテニー・ウェク・アテニー大統領報道官はロイター通信に対し、「サルバ・キール大統領には、リヤク・マシャール氏との協力関係を続ける強い決意がある」と述べた。
マシャール氏は地元のラジオ局「アイ・ラジオ・ジュバ」に対し、自身を支持する勢力も現地時間の午後8時から停戦に応じると述べた。同氏は、「防御に当たっていたすべての兵士に対し、停戦を守り、今いる場所から動かないよう伝える」と語った。
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マシャール副大統領(写真左)とキール大統領(同右)
11日には、ジュバ市民がBBCに対し、略奪行為や街中で銃声が聞かれることから家から出ないようにしていると語った。
ジュバ市内に戦車が展開していて、空港近くで戦闘が起きているとの情報もある。南スーダンの米国大使館は、「激しい戦闘」が起きていると述べている。
BBCの南スーダン専門家、ジェームス・コプナル氏は、今回の戦闘でジュバは破壊され、昨年8月にキール氏とマシャール氏の間で結ばれた和平協定は破綻したと語った。
さらにコプナル氏は、両氏がそれぞれの派閥をどの程度把握しているかも不明だと指摘した。先週8日に両氏が戦闘停止を呼びかけたにも関わらず戦闘は終わっていない。
軍の報道官が11日午後にBBCに語ったところによると、大統領支持派の兵士らに兵舎に戻るよう命令が下っている。報道官は、兵舎の外を出歩いたり、略奪行為を働いた場合には逮捕されると述べた。
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戦闘で破壊された軍の車両(11日、ジュバで)
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武装した国連部隊(ジュバで)
中国の報道各社によると、平和維持活動(PKO)に従事する中国人2人がジュバでの戦闘で死亡したと報じた。このほか数人が負傷したほか、多くの市民が戦闘に巻き込まれて負傷している。
南スーダンのシャンタル・パーサード国連報道官は、戦闘のため家を追われた数百人が国連施設に避難していると述べた。
同報道官は、継続的停戦とジュバからの兵士撤退を含む昨年の和平を順守する責任がキール大統領とマシャール副大統領にはある、と語った。
南スーダンに存在する60以上の民族の中で最も多いのはディンカ人(上図の緑の地域)とヌエル人(紫の地域)。キリスト教徒とイスラム教徒が混在するほか、言語や伝統もさまざまだ。