仏閣僚 バローゾ前欧州委員長のゴールドマン・サックス入りを非難

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ブレグジットへの対応でゴールドマン・サックスに助言をするというバローゾ前委員長の新しい仕事は非難を集めている
欧州連合(EU)欧州委員会のホゼ・マヌエル・バローゾ前委員長が大手金融機関ゴールドマン・サックスの国際部門の会長に就任することをめぐり、フランスの閣僚から非難する発言が相次いだ。
アルレム・デジール欧州問題担当相は13日、バローゾ氏の転身を「スキャンダル」だと述べ、欧州連合の利害相反に関する規定に反するのではないかと指摘した。
規定では、欧州委員会の委員長は退任後1年半、再就職が禁じられているが、バローゾ前委員長は2014年11月に退任しているため、すでに1年8カ月が経過している。
デジール担当相は、英国が先月23日の国民投票でEU離脱を決めてから間もないなかで、バローゾ氏がゴールドマン・サックス入りするのは時期として望ましくないと主張。デジール氏は議会で、「歴史の中で、欧州(統合)の計画が今こそ支持され強化されるべき時期に、委員長を務めた人の行為として一番逆効果であり、バローゾ氏は間違っている」と述べた。

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ゴールドマン・サックス国際部門の代表権のない会長に就任するバローゾ氏の役割には、ブレグジット(英国のEU離脱)に関する助言が含まれる。
バローゾ氏は、ゴールドマン・サックスのロンドン拠点が、英国のEU離脱交渉からの影響に対応するなかで、自身のEUでの経験を生かしたいと述べていた。同社にとっては、バローゾ氏のEUに関する知識や、多くのEU幹部とのつながりを活用できる。
「驚きはない」
デジール氏の議会での発言の前にも、バローゾ氏に対する非難の声は続いており、一部では「恥ずべき行為だ」との発言も出ている。
フランスのサパン財務相は12日に記者団に対し、「欧州を愛していたのなら、こんなことはすべきでない。特に今は」と述べ、「しかし、バローゾ氏なだけに驚きはない」と付け加えた。
欧州連合などの機関に対する市民の苦情を受け付けるEUオンブズマンは欧州委員会の委員長の退任後の再就職について規定を厳格化すべきだとEUに勧告している。
EUオンブズマンのオライリー氏は、規定の文言通りに行動していたとしても、高い役職にあった元EU職員として誠実な対応とは言えないと指摘した。オライリー氏は、「法の精神が無視されるようなことが少しでもあれば、EUに対する市民の信頼を損なう可能性がある」と述べた。