オバマ米大統領がテレビ特番に出演 人種間の緊張緩和訴え

ABCの番組

画像提供, ABC

オバマ米大統領は14日、市民からの質問に答えるABCテレビの特別番組に出演し、警察と黒人社会が「お互いを敵視せず」、団結すべきだと訴えた。

米国では、警察による黒人の射殺が最近相次いだほか、人種差別に対する抗議デモを警備していた警官が狙撃され死亡するなど、人種間の緊張が高まっている。

南部テキサス州のダラスで今月7日に警官5人を狙撃し殺害したとされるマイカ・ジョンソン容疑者は、警官による黒人射殺に腹を立てていたと語っていた。

今月5日には、南部ルイジアナ州バトンルージュでアルトン・スターリングさんが警官に射殺され、その翌日には中西部ミネソタ州ミネアポリス郊外でフィランド・カスティールさんが警官に車を止められた後に射殺された。どちらも現場の様子を撮影した動画が公開された。

オバマ大統領は、「若い世代には、警察は信用できないという考えを持ちながら、あるいは一方で、現場できちんと仕事をしている警察が、地域社会にも信用されていないために、犯罪者からだけではなく、いつも脅威を感じる、というような状況で育ってほしくない」と述べた。

オバマ大統領はさらに、「心を閉ざして隅に行くのではなく、お互いに歩み寄って耳を傾けることが必要だ」と語った。

対話番組には、スターリングさんの15歳の息子キャメロンさんや、カスティールさんのガールフレンドで殺害時のもようをインターネットでライブ中継したダイヤモンド・レノルズさんも参加した。

オバマ大統領は番組で、警察と黒人社会との溝を埋めることに努めた。犠牲者に共感を示しながらも、警察が自分たちだけでは解決できない大きな課題と戦っていると指摘した。

中西部ウィスコンシン州ミルウォーキー市警のエドワード・フリン本部長の質問に答えたオバマ大統領は、「アフリカ系米国人社会で殺人率が一般社会と比べて異常に高いのは全く本当だ。警察だけに責任を負わすことはできない。地域社会の努力も必要だ」と語った。

オバマ大統領としては珍しく、人種差別に直面した自らの体験についても触れた。

ハワイ州で幼少期を過ごしたオバマ大統領は、近所の女性に一緒にエレベーターに乗るのを避けられたことがあったと話し、「ただ僕と一緒にエレベーターに乗るのが怖かったんだ」と語った。さらに自分が成長するにつれ、黒人男性として恐れられるのを感じていたと述べた。

「道を渡ろうとすると突然、人々が(車の)ドアをロックするのに気が付くようになる」

「黒人の命も大事」運動やオバマ大統領に批判的なテキサス州のダン・パトリック副知事が、警察支持を明確にするよう大統領に迫った際には、緊張した空気が流れた。オバマ大統領は、警察を批判しながら警察を支持することは可能だと述べた。

オバマ大統領は、「公平な扱いを求める人が自動的に反警察だと、なぜか決めつける思い込みは避けるべきだ」と語った。