南仏ニースのトラック突入、5人を拘束 イスラム国が関与表明

ニースの襲撃現場には花束やろうそくを手向ける人が後を絶たない

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南仏ニースの襲撃現場には花束やろうそくを手向ける人が後を絶たない

フランスの革命記念日を祝う南仏ニースで14日午後10時45分ごろ、海沿いの遊歩道に、大型トラックが突入した。仏内務省によると、84人が死亡し、202人が負傷。負傷者のうち52人が重体という。死亡した中には子供10人も含まれていた。フランス検察によると、警察は関連が疑われる5人を拘束した。

仏ルモンド紙によると、15日に2人、16日に3人を逮捕したという。

過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)は、IS系アマク通信を通じて、トラックの襲撃はイスラム国の信奉者によるものだと発表。「イスラム国と戦う連合国の市民を標的にするよう求めた呼びかけに、彼は応えたのだ」と表明した。

オランド大統領は攻撃をテロ行為と呼び、26日に期限を迎える非常事態宣言をさらに3カ月延長した。危機対応の緊急閣議を開く予定。

攻撃ではニース市民のほか、多くの外国人観光客が死亡した。外国人の中にはアルジェリア人3人、ドイツ人の教師1人と生徒2人、チュニジア人3人、スイス人2人、米国人2人、ウクライナ人1人、アルメニア人1人、ロシア人1人が含まれる。

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ラフエジブフレル容疑者の在住許可証の写し。フランス警察提供。

警察は容疑者を、チュニジア出身でニース在住のモハメド・ラフエジブフレル容疑者(31)と発表。花火打ち上げなどの見物に約3万人が集まっていた、有名な「プロムナード・デザングレ」に19トン・トラックで侵入し、通行人を狙いながら約2キロにわたり蛇行したという。

容疑者はネグレスコ・ホテル近くに着くとオートマチック短銃で警官たちに発砲し、さらに300メートル進んだ場所で射殺された。

トラックの中には、銃弾やにせの短銃、カラシニコフ自動小銃の模造品、にせの手投げ弾などがあった。ほかに自転車や書類、空の容器、携帯電話も押収された。

容疑者は運転手で配達人として働き、子供が3人いるが、妻とは別居中。警察は15日、妻を拘束したとパリ検察のモラン検事は話した。

軽微な刑事事件の常習犯として警察には知られていたが、「情報機関はまったく把握していなかった(略)過激化の兆しがあるという情報も知られていなかった」と検事は補足した。

カズヌーブ内相は、イスラム過激主義との関係は確認できないと述べた。

一方でバルス首相はフランス2テレビに、容疑者は「紛れもなく何らかの形でイスラム過激主義とつながっているテロリストだ」と述べた。

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ニースの海岸で行われた革命記念日を祝う花火大会

目撃した人たちは

英北部リーズの弁護士サイモン・コーツさんはBBCに、「地面に倒れて、死んだ子供に話しかけている女性を見た。ほかの人たちも必死に、愛する人を助けようとしていた」と話した。

「トラックが私の横を通過した時、10歳かそこらの男の子が跳んで、ぎりぎりよけられた。数センチしか余裕がなかった。よけきれなかった人は、若い人もお年寄りも、何十人もいた。悲惨だ。プロムナードで目にしたほとんどの人は死んでしまったか、本当にひどいけがで手の施しようがなかった」

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現場地図。緑の線がトラックの進路。容疑者は上から下へ進み、ネグレスコ・ホテルの前で警察に発砲し、下の矢印の場所で射殺された。

ナデル・エル・シャフェイさんはBBCに、運転する容疑者と1分ほど、真正面から向き合っていたと話した。「とても緊張した様子だった(略)手元の何かを探していて。私はずっと怒鳴り続けて、止まれと手を振っていた。(略)男は銃をとって警察を撃ち始めた」。

シャフェイさんはこの後、男がトラックを爆発させるのではないかと恐れ、ほかの通行人と一緒に浜辺に走って逃げたという。

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「ひどいことになっている」 ニースのトラック突入現場

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「いきなり一大パニックが」 ニースの現場から

ニース在住でモロッコ出身のファティマ・チャリヒさん(60)は犠牲者のひとり。息子は母親が「イスラム教を正しく信仰していた。本物のイスラムです。テロリスト版のじゃない」と話した。

容疑者は

チュニジアの治安当局によると、ラフエジブフレル容疑者はチュニジアのムサケン出身。しばしば帰国を繰り返し、前回は8カ月前だったという。

フランスのウルボアス司法相は、今年初めに別の運転手とけんか沙汰になり執行猶予つきの有罪判決を受けているが、ほかに有罪になった犯罪歴はないと話した。

同じアパートに住む住民たちは、あいさつしても返事をしない、いつも1人でいた――などと話している。