【英EU離脱】7月の英正規雇用に打撃か

英国で定職につける人が減っている

画像提供, Getty Images

画像説明,

英国で定職につける人が減っている

英国の欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票を受けて、英国では正規雇用の数が急減している可能性がある。英求人雇用連盟(REC)が5日、調査結果を発表した。調査は金融情報会社IHSマークイットが行った。

英国内の就職仲介業400社を対象にした調査によると、7月の新しい正規雇用の件数は2009年5月以来最も急激に減少した。回答者の多くが、ブレグジット(英国のEU離脱)による将来への不安を理由に挙げている。短期採用を増やす企業が増える傾向にあるという。

英求人雇用連盟(REC)のケビン・グリーン最高責任者は「英国の雇用市場は7月に劇的な自由落下状態にあった。正規雇用は2009年の景気後退以来の低水準に落ち込んだ」と説明した。

ただしグリーン氏は、性急な判断は避けるべきだと指摘する。

「国民投票の結果が英国内の雇用にどういう長期的影響を与えるのか、まだ分からないというのが本当のところだ。政治状況が安定し、イングランド銀行(中央銀行)がまともな判断を続ければ、予想より早く雇用市場が回復するかもしれない」

画像提供, Getty Images

画像説明,

7月には短期採用が増えた

調査に参加した就職仲介業者の約38%が、7月に扱った正規雇用の数は以前より少ないと答えた。6月についてこう答えたのは32%だった。

その一方で、多くの業種は人手不足状態にあり、正規・非正規ともに7月の初任給額は上昇している。

7月に最も正規採用の募集が多かったのは看護と医療従事者で、一方で建設業界では募集が減った。

「空きポストは増えており求人は以前として底堅いが、実際の採用が急減したのは、企業が新規採用にきわめて慎重だからだと思われる」とグリーン氏は言う。

「EU離脱投票を引き金に続いた経済の混乱が、紛れもなく根本原因だ」

調査結果の発表前日には、イングランド銀行のカーニー総裁が、今後2年間で英国の失業率は現在の4.9%から5.5%に増えるだろうと見通しを示している。