シリア・アレッポに飛行禁止区域を 現地医師らが米大統領に書簡

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反体制派が支配するアレッポ東部にある子ども病院で地下の施設に避難した赤ちゃんたち(先月24日)
激しい戦闘が続くシリア北部の最大都市アレッポで活動する医師29人が、空爆を止めるためアレッポに飛行禁止区域を設定するよう求める書簡をオバマ米大統領に送った。
医師たちは書簡で、医療施設に対する現在のような攻撃が続けば、1カ月以内にすべての施設が破壊されると訴えた。医師らは、反体制派が支配するアレッポ東部で治療活動を行っている。
医師らは、支援が必要な人々を助けると固く誓っているとした上で、オバマ大統領にも「責務を果たす」ことを求めた。
一方、ロシアは、アレッポへの人道支援を可能にするため、11日から毎日3時間攻撃を停止すると発表した。ロシア国防省はモスクワで記者会見を開き、空爆や砲撃を含む全ての軍事行動を午前10時から午後1時まで一時停止すると述べた。
しかし、ロシアの発表後すぐ国連は、多くが支援を必要としてる現状では3時間は十分でないとして、48時間の戦闘停止を求めた。
戦闘はここ数日激しさを増しており、反体制派はアレッポ西部につながる政府軍の主要なルートの破壊に成功した。反体制派は、ロシア空軍の支援を受けた政府軍が先月からアレッポ東部の周りに形成した包囲網を破ろうとしている。
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記者団にシリアでの空爆について説明するロシア国防省幹部(10日)
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反体制派は先週末、アレッポ南西部の包囲を破ることに成功した
包囲されたシリア・アレッポ 住民たちは決死の脱出
医師らは書簡で、約5年前にシリアのアサド大統領に対する反乱が始まって以来、「数えきれないほどの患者、友人、同僚たちが暴力的で苦痛にまみれた死に方をするのを見てきた」と述べ、さらに、「世界は傍観し、私たちを守ろうとせずに、シリア情勢がいかに『複雑』か論評してきた。シリア政府とロシアが最近出した退避の提案は、今逃げるか、運命に従うかだという、住民に対する見え透いた脅迫だ」とした。
医師らによると、シリア国内で過去1カ月間に医療施設が42回攻撃され、そのうち15件は医師らが働く病院だったと指摘した。
国連は今月8日、過去数週間の戦闘で多数が死傷し、病院や診療所を標的とした攻撃には収まる気配がないと述べた。さらに、インフラへの攻撃で200万人以上がここ数日間、水道や電気の供給が絶たれた状態で生活していると指摘した。
国連はアレッポにいる民間人への支援をする用意があるとしているが、完全な停戦、もしくは毎週48時間の戦闘停止がなければ、食料や医療物資の備蓄が「危険なまでに少なくなっている」地域へ支援を届けることができないとしている。
アレッポ周辺の勢力図(紫:反体制派、緑:政府軍、肌色:クルド人勢力、オレンジ:「イスラム国」
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反体制派が支配するアレッポ東部の病院で(先月16日)