【リオ五輪】ブラジル、米水泳金メダリストらを出国禁止に

ジャック・コンガー選手

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コンガー選手とベンツ選手はリオを出発しようとしていたところで、飛行機から降ろされた。写真はジャック・コンガー選手(今年6月資料写真)

ブラジル当局は17日、リオデジャネイロ五輪の競泳男子800メートルリレーで金メダルを獲得した米国水泳チームのガナー・ベンツ選手とジャック・コンガー選手の出国を差し止めた。すでに米国行きの飛行機に乗っていた2人は、飛行機から降ろされた。米国オリンピック委員会(USOC)が認めた。

米競技男子選手4人が14日にリオで拳銃強盗に遭ったと訴えている件を調べているブラジル警察は、ベンツ選手とコンガー選手に事情聴取する方針。

これに先立ちブラジルの裁判所は17日、リオデジャネイロ五輪の競泳男子800メートルリレーで金メダルを獲得した米国水泳チームのライアン・ロクテ選手とジェイムズ・フェイゲン選手2人のパスポートを押収するよう、捜査当局に命令したが、ロクテ選手はすでに出国している。

ロクテ、フェイゲン両選手とほか2人の選手は、14日にタクシーで選手村に戻ろうとしていた時に拳銃強盗に遭ったと訴えていたが、警察は選手らが選手村に戻ったする時間と防犯カメラの記録に食い違いがあると指摘している。

ロクテ選手の弁護士、ジェフリー・オストロー氏はBBCに対し、ロクテ選手が2日前に米国に帰国していると語った。オストロー氏は、「ブラジル当局の事情聴取に応じた後は、そのほかの捜査その他の目的で留まる必要があるとは一切言われなかった」と述べた。

ロクテ選手は15日に米国に帰国した様子を撮影した映像をツイッターに投稿している。

五輪で合計12個の金メダルを獲得し、米国で自らのリアリティー番組にも出演していたロクテ選手は、史上最も成功した水泳選手の一人。

一方、地元テキサス州のサンアントニオ・エクスプレス紙に対して、ブラジルから出国していないと語ったフェイゲン選手は、400メートルリレーで金メダルを獲得している。

強盗をめぐる情報は当初から錯綜(さくそう)していた。

ロクテ選手はNBCテレビに最初に強盗に遭ったと話したが、国際オリンピック委員会(IOC)広報担当のマーク・アダムス氏は、強盗被害について「絶対にそんなことはなかった」と否定。しかしその後、米国オリンピック委員会(USOC)が、選手たちの証言は事実だとした。

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フェイゲン選手は400メートルリレーで金メダルを獲得した

ロクテ選手は警察に対し、13日夜にフェイゲン選手、ガナー・ベンツ選手、ジャック・コンガー選手と共にフランス代表の施設で開かれたパーティーに出席した後、選手村に戻ろうとしていた際に警官の服装をした男たちに乗っていたタクシーを止められたと説明した。

ロクテ選手は、男の1人に頭に銃を突きつけられ、現金と所持品を奪われたと話していた。

しかし捜査した警察は、強盗発生の証拠は見つからず、選手たちの証言に「食い違い」があると指摘した。

ロクテ、フェイゲン両選手の証言によると、選手たちは朝4時に選手村に戻ったとしているが、防犯カメラの記録では午前7時に選手村に戻ったことが示されている。

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マイケル・フェルプス選手(写真左)とロクテ選手は長年のライバルだ

警察は、選手らが乗っていたタクシーの運転手を見つけられなかったと話している。さらに強盗に遭った状況について、フェイゲン、ロクテ両選手の証言が食い違っていると指摘した。

捜査当局は、フェイゲン選手の携帯電話記録開示を求めるほか、選手たちが宿泊した部屋の捜索令状を裁判所に求めている。

USOCはブラジル警察がロクテ、フェイゲン両選手のパスポート押収と選手らへの再聴取を要求していることを確認した。USOCは文書で、「競泳チームは競技終了後に選手村から出ているため、選手たちに事情を聴く機会を提供することができなかった」と述べた。