歌手プリンスさん宅の薬、「ラベル誤記載」

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今年4月に自宅で死亡しているのが見つかったプリンスさん

今年4月に米ミネソタ州の自宅で死亡しているのが発見された歌手プリンスさん(当時57)の自宅から押収された薬品の中には、麻酔・鎮痛などに使われる強力な合成オピオイドのフェンタニルが含まれていたが、ラベルの記載に誤りがあったという。地元紙ミネアポリス・スター・トリビュートが21日、伝えた。

同紙が捜査筋の話として伝えたところによると、フェンタニルのラベルにはより弱い種類のオピオイド「ハイドロコドン」と書かれていた。

今年6月に公表されたプリンスさんの検死報告は、誤ってフェンタニルを過剰摂取したことが死因だとしていた。

ミネアポリス・スター・トリビュートによると死亡時のプリンスさんの体重は50キロで、体内からは致死量をはるかに超えたフェンタニルが発見されたという。

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プリンスさんの自宅「ペイズリー・パーク」

米国では、フェンタニルを含む偽の薬が原因の過剰摂取が多発しているという指摘がある。

AP通信によると、プリンスさん宅「ペイズリー・パーク」で発見された偽造薬には、フェンタニルのほか、リドカインやU-4770(モルヒネより8倍の薬効がある合成薬)など様々な薬品が含まれていたという。

AP通信は捜査筋の話として、死亡以前のプリンスさんの検査でフェンタニルが検出されたことはなく、長期的に使っていたわけではないことが分かると伝えている。捜査筋は、プリンスさんが亡くなる6日前に体調悪化のため自家用機をイリノイ州に緊急着陸させた際には、多量のフェンタニルを所持していたと話している。

コンサート中に体調を崩したプリンスさんがイリノイ州で プリンスさんは15日、自家用ジェットを米イリノイ(Illinois)州モリーン(Moline)に緊急着陸させて病院で治療を受けていた。

イリノイ州の病院では、オピオイド系薬品の過剰摂取に対処するため、麻薬拮抗薬「ナルキソン」の投与を受けたという情報もある。

フェンタニルとは

フェンタニルは、極めて強力な鎮痛剤。激しい慢性の疼痛や、通常の鎮痛剤では緩和されない急激な激しい痛みに処方される。

オピオイド系で、大脳内部にある体内性モルヒネのエンドルフィンと似た作用で、脳の痛み伝達を抑制するが、重い呼吸困難など危険な副作用を引き起こすおそれがある。

摂取量や含有量を間違うと、副作用の危険が高くなる。