虚偽通報の米競泳ロクテ選手、スポンサーが次々離れ 日本企業も

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リオ五輪の競泳男子800メートルリレーで金メダルを獲得しながらも、リオ市内で「強盗に遭った」と虚偽の通報をして謝罪に追い込まれた米国のライアン・ロクテ選手(32)は22日までに、主要4社の企業スポンサーを失った。
美容医療機器製造のシネロン・キャンデラと日本の寝具メーカー、エアウィーヴ、米水着メーカーのスピードと米ファッションブランドのラルフ・ローレンが相次いで契約打ち切りを明らかにした。
ロクテ選手は2004年のアテネ五輪から夏季五輪4大会に連続出場し、計12個のメダルを獲得。様々な企業との契約を通じて、数百万ドルの収入を得ている。
契約規模が最も大きかったスピード社は声明で、「このブランドが長年重視してきた価値観と異なる振る舞いを、容認するわけにはいかない」と批判した。
ロクテ選手は同社の判断を尊重するとコメントし、「長年にわたる提携関係が、私に様々な機会を与えてくれたことに感謝する」と述べた。
スピードは、ロクテ選手に払うはずだった協賛金の一部の5万ドルを、児童支援の国際慈善団体セイブ・ザ・チルドレンのブラジル支部に寄付すると発表。同社とロクテ選手との契約額は公表されていない。契約締結から10年を経て今年期限切れになると言われる。
ラルフ・ローレン社は、自社サイトからロクテ選手の画像を削除し、スポンサー契約はリオ五輪のみのもので、今後は更新しないと明らかにした。
ラルフ・ローレンとエアウィーブは共に、米国のオリンピックとパラリンピック選手団への支援は今後も続けると強調した。
シネロン・キャンデラは、「わが社は社員に高い行動規範を求めている。ビジネスパートナーにも同様の規範を期待する」とコメントした。
米誌フォーブスによると、2012年ロンドン五輪の年にはロクテ選手は、ジレット、日産、AT&T、ゲータレードなどとのスポンサー契約で200万ドルの契約金を得たとみられる。
リオ大会での成績は、金2個を含むメダル5個を獲得したロンドン大会に及ばないが、それでもスポンサー契約の総額は100万ドル~200万ドル規模だったはずだと同誌は書いている。
「誇張」か「嘘」か
ことの次第は、ロクテ選手とチームメイト3人がリオ市内で夜遊びをして選手村に帰ってきたときに始まった。4人は、ガソリンスタンドの鍵がかかったトイレを無理やり使おうとして失敗し、外で放尿した。
ロクテ選手は当初、自分たちは偽の警官に強盗されたと主張したが、後に自分たちは酔っていて、「細かい内容を省略し」「話の一部を誇張した」と認めた。
リオ警察が公表した防犯カメラ映像をはじめ、選手たちの言い分と実際の出来事は異なっていたと示す様々な証拠が公表されているが、ブラジル当局への最初の通報内容は嘘ではなかったと、選手は主張を続けている。
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米国では大勢が選手たちの行動をさげすんでおり、米メディアは連日、選手を嘲笑している。
米タブロイド紙ニューヨーク・ポストは19日、ロクテ選手を「醜いアメリカ人」を一面で非難し、「嘘つき嘘つき、(水着)スピードに火がついてるぞ」と嘲った。
リオ大会では2種目に出場し、夜遊び仲間のひとりジャック・コンジャー選手と共に800メートルリレーで金メダルを獲得した。
スピード社は「数多くの功績をありがたく受け止め、今回の経験から学び、前に進むことを期待する」とコメントしている。