EU、アップルに追徴金数十億ユーロの可能性 租税回避で

アップルのiPhone

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米アップルのアイルランド子会社を通じた節税策をめぐり、欧州連合(EU)がアイルランドに対して、数十億ユーロの追徴金をアップルに科すよう求める可能性がある。

最終的な判断は30日にも下される見通し。EUの執行機関である欧州委員会は、3年間に及んだ調査で、アイルランドがアップルに違法な補助金を提供したと指摘している。

英紙フィナンシャル・タイムズは、追徴金が数十億ユーロになる可能性があり、欧州で過去最大となると報じた。

アップルとアイルランド政府はEUの判断を受けて控訴するとみられる。

EU法は、各国の税当局が任意の企業に税優遇措置を設けるのは違法な補助金に当たるとして禁じている。

EU当局者によると、アイルランド政府は1991年と2007年に同国でのアップルの納税額を最小限にする措置を決めている。

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ベステアー欧州委員がアップルの納税をめぐる調査を主導してきた

アップルの会社組織では、国際事業からの売り上げを合法的にアイルランドに集めることができ、アイルランド政府との合意による節税策が可能になる。

マルグレーテ・ベステアー欧州委員(競争担当)は30日に、アップルに対する追徴金の推計を示すとみられるが、実際の額はアイルランド政府が算定する。

米国からの警告

米国は、アップルを含む米企業に対する欧州委員会の調査を批判している。

米財務省は先週、欧州委員会が、EU加盟国の税制よりも強い「超国家税当局」になる危険が生じていると述べた。財務省はさらに、EUが通常とは別の基準を米企業に適用していると警告し、予想される追徴金に対し「深い懸念」を示した。

EU内の税優遇をめぐる問題では、アップル以外にも複数の企業が標的にされている。

欧州委員会は昨年、オランダに対し米スターバックスに3000万ユーロ(約34億円)の追徴金を科すよう求めた。ルクセンブルクも欧米自動車大手フィアットに同様の額を追徴するよう求められた。

アップルへの追徴金はこれらよりも大幅に増える可能性があるが、同社の現金保有は2000億ドル(約20兆4200億円)以上あるため支払いには大きな問題はない。ただ、追徴金の判断を受けた場合には、財務報告書を修正する必要が生じる可能性がある。