テロ攻撃を毎日阻止している=仏首相

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イスラム過激派との戦いで最大7000人の兵士が動員されている
フランスのマニュエル・バルス首相は11日、同国の治安当局が「毎日」テロ攻撃を阻止していると述べた上で、新たな攻撃が起きるだろうと警告した。
フランスでイスラム聖戦主義との闘いが続くなか、バルス首相は同国メディアとのインタビューで、過激思想を持つとみられる約1万5000人が監視下にあると語った。仏当局はこれまで、約1万人が要注意人物として特定されているとしていた。
10日には、15歳少年が攻撃計画の容疑でパリの自宅で逮捕されている。
当局によると、少年は今年4月から監視下にあり、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)のフランス国籍メンバー、ラシド・カシム容疑者と連絡を取っていたという。
昨年11月のパリ連続襲撃事件で130人が殺害されて以来、フランスでは非常事態宣言が出されている。フランソワ・オランド大統領は連続襲撃を「戦争行為」と呼んでいる。
しかし最近の調査では、非常事態宣言が治安改善に「限定的な効果」しかもたらしていないという評価が出ている。調査は、学校やユダヤ教の礼拝施設や百貨店など、警戒が必要な場所に6000~7000人の兵士が配置されていることの有効性を疑問視している。
バルス首相はインタビューで、「現在、脅威は最高レベルにあり、我々は標的だ」と述べた。首相はさらに、「情報機関や警察が毎日、攻撃を阻止しており、ネットワークを破壊し、テロリストを追跡している。フランス国内では、過激思想に染まりつつあるという理由で、約1万5000人が監視下にある」と説明した。
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バルス首相(今月5日、パリ)
重苦しい雰囲気のインタビューでバルス首相は、「新たな攻撃は起きる。罪のない犠牲者が出るだろう」と語った。
2017年の大統領選に向けて、安全保障は今のフランスの主要議題だ。バルス首相は、ニコラ・サルコジ前大統領が提案する特別裁判所や収容所の設置は解決策にならないと批判している。
大統領選への立候補を先月表明したサルコジ氏は、日曜紙ル・ジュルナル・デュ・ディマンシュとのインタビューで、「ジハード(イスラム聖戦)主義のウェブサイトを頻繁に見に行っていたり、過激思想をうかがわせる行動があったり、過激派との接触があったりして、テロリズムへの関与が疑われるフランス人は皆、予防的措置として収容所に入れるべきだ」と述べた。
仏検察は、今月4日にパリ中心部のノートルダム大聖堂近くでガスボンベが積まれた車が見つかった事件で、女性の容疑者のうち1人を起訴。テロ行為の関与と殺人未遂の疑いで「オルネラ・G」とされた容疑者が起訴された。
起訴された容疑者のほか3人の女性が警察の質問を受けた。このほかにも、容疑者らが「暴力的な」攻撃を「近く」実施する計画だった疑いがあるという。
パリ検察のフランソワ・モラン氏は9日、オルネラ・G容疑者の指紋がガスボンベを積んでいた車から見つかったと述べた。同容疑者はシリアへの渡航を考えているとされ、情報機関の監視下にあった。
オルネラ・G容疑者は今月6日にフランス南部で男性の友人と一緒にいるところを逮捕された。男性は拘束を解かれている。