台湾、南沙諸島の島の画像にモザイク処理要求 グーグルに

画像提供, Google Earth
新しい軍用施設は砲台かもしれないという指摘がある
台湾当局はグーグル社に対して、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)で領有権が争われている太平島(別名・イトゥアバ島)について、グーグル・アースの衛星画像をモザイク処理するよう求めた。衛星画像では、新しい軍用施設が4つ建設されたように見える。太平島については、台湾が実効支配しているが、中国とベトナムとフィリピンが領有権を主張している。
グーグル・アースの衛星画像では、新しい港と修復された滑走路の隣に、Y字型の構造物が4つ半円形に並んでいるのが見える。
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「太平島」は複数の国が異なる名前で呼んでいる。写真は2016年3月空撮。
台湾国防部の陳中吉報道官は21日、「軍事機密と安全を守るという前提条件のもと、重要な軍事施設の映像をぼかすようグーグルに要請した」と述べた。
海岸巡防署(海上警察に相当)もBBCに対して、グーグルと協議中だと認めた。撮影場所が軍事エリアだとグーグルは認識していなかったかもしれないと、海岸巡防署はみている。
海岸巡防署は、他の国が同じような立ち入り禁止区域の衛星画像を公表されたら、同じように問題視するはずだと話している。
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太平島には複数の行政施設や軍事施設がある。写真は今年3月撮影。
グーグル社は台湾の要請を検討していると述べた。
タジ・メドウズ広報担当はBBCに対して、「安全保障上の懸念は非常に重大なこととして受け止めるし、公的機関や当局者と協議する用意は常にある」と話した。
グーグルはこれまで同様の要請に応じず、画像をぼかしたことはない。グーグル・アースの画像の大半は第三者から提供されたもので、複数の商用ルートで入手できるものが多いためとみられる。
南シナ海。赤線は中国が領有権を主張する海域。青線は国連海洋法条約にもとづく200カイリの排他的経済水域(EZZ)の境界線。
オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は7月、太平島は「島」というよりは「岩」で、そのため周囲に最大200カイリの排他的経済水域(EEZ)を設定することは認められないと判断を示した。中国も台湾も共にこの判断は受け入れていない。