【米大統領選2016】クリントン氏、所得税めぐりトランプ氏を痛罵

Hillary Clinton and Donald Trump

画像提供, EPA / AFP

米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が18年間にわたり連邦所得税を収めなかったという米紙報道を受けて、民主党候補のヒラリー・クリントン氏は3日、トランプ氏こそ自ら批判する「仕組まれた」国の体制の象徴だと批判し、「トランプが第一でほかの全員が後回しだ」と罵倒した。激戦州オハイオ州で遊説中に述べた。

米紙ニューヨーク・タイムズは1日付の記事で、トランプ氏が1995年に9億1600万ドルの巨額損失を申告したことから18年間にわたり利益が相殺され、所得税の支払いが免除された可能性があると伝えた。

実業家トランプ氏はこれについて3日、複雑な税制相手に「見事に」立ち回ったと表明。「私ほど税法をよく理解している人間はめったにいない」と述べ、ホテル開発業者、実業家として、「自分と自分の会社の利益のために、税法を合法的に活用した」と説明した。

トランプ氏はコロラド州で支持者を前に、実業家としての才覚があればこそ、税制改革の着手に自分は適任だと強調した。

しかしクリントン氏はこの説明を受け入れず、トランプ氏は偽善者だと批判。勤労者に有利になるよう国の仕組みを変える変化のための候補だとトランプ氏は自らを売り込んでいるが、「何百万というアメリカの家族が、私のも皆さんのも含めて、一生懸命働いて自分たちの分を納めていた間、どうやら彼は何も貢献していなかったようです」と支持者たちに述べた。

「トランプは、自分が変えると主張する仕組まれたシステムを代表している」

4日夜には1回のみの副大統領候補テレビ討論会が、バージニア州で行われる。共和党のマイク・ペンス氏と民主党のティム・ケイン氏の間の舌戦で、この所得税問題が取り上げられるのは必至だ。

大統領選に関する出来事はほかに次の通り――。

・インディアナ州知事としてペンス氏はシリア難民がインディアナ州に定住できないよう行政命令を出していたが、連邦控訴裁はこれを差し止める地裁判断を支持。

・トランプ氏は、帰還兵が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患うのは弱いからだと批判したともとれる発言をして、批判された。

・NBAクリーブランド・キャバリアーズのスター選手、レブロン・ジェイムズ氏がクリントン氏支持を表明。

・ニューヨーク州司法長官がトランプ財団に、寄付金集めを中止するよう命令

9月26日夜の大統領候補討論会では、クリントン氏が優勢だったという意見が多く、それ以来トランプ氏は防御一辺倒の状態が続いている。

3日に発表されたCNNと調査会社ORCの世論調査によると、討論会後にクリントン氏の支持率は上向いた様子。投票日まで5週間となった現在、全米平均の支持率で5ポイント優勢となり、特に主要激戦州で差を広げつつあるという。

CNN/ORC調査に回答した73%が、トランプ氏は納税記録を公表すべきだと答えている。

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<クリントン氏とトランプ氏の最新支持率。BBCが示す両候補の支持率は直近5種類の全米調査の中央値>