EU離脱に楽な道ない 英にEU大統領が警告

画像提供, AP
ブリュッセルで講演するトゥスク大統領(13日)
欧州連合(EU)のドナルド・トゥスク大統領は13日、ブリュッセルで講演し、英国のEU離脱交渉について、単一市場へのアクセス維持には、域内における移動の自由を受け入れるのが譲れない条件だと述べ、離脱に楽な道はないと警告した。
トゥスク大統領は、離脱交渉を行う加盟28カ国の首脳会合で議長を務める予定。
英国のテリーザ・メイ首相は先週、来年3月末までにEU基本条約(リスボン条約)50条を発動し、離脱交渉を正式に開始すると表明した。今年6月に英国で実施された国民投票では、52%が離脱を支持した一方48%が残留を支持し、離脱が決まった。
交渉期間は最大2年間に及び、移民やEU単一市場へのアクセスなど議論は複雑になるとみられている。
塩と酢だけ
英国のEU離脱派は国民投票にあたり、欧州からの移民を禁止し、欧州の司法権を認めない一方で、EU加盟国に与えられた貿易上の優遇を手放さないのも可能だと主張していた。
これについてトゥスク氏は、まるで「EUというケーキは食べてもなくならない」と約束したに等しい、ご都合主義な選挙公約だったと離脱派を揶揄した。
トゥスク大統領は、「(離脱派の主張を)信じる人には簡単な実験をお勧めする。ケーキを買って食べてから、まだ皿に残っているか見てみてほしい。ブレグジット(Brexit=英国のEU離脱)は我々全員にとっての損失だ。これが残酷な真実だ。テーブルのケーキはもうなくなる。誰にとっても。塩と酢しか残らない」と語った。
トゥスク大統領はさらに、英国がEU離脱を最終的に見送る可能性もあると示唆し、「その可能性を信じる人が今はほとんどいないとしても」と述べた。
ブリュッセルで取材するBBCのデイミアン・グラマティカス記者は、トゥスク大統領は警告しているのだと指摘。同大統領が離脱交渉の方向性に深い懸念を持っているようにみえると付け加えた。
しかしトゥスク大統領は、EU離脱が「本当に自分たちの利益にかなうかどうか」を選択するのは、ただ英国のみだとあらためて強調した。
英政府関係者は今のところ、トゥスク大統領の発言について公にコメントしていない。