【米大統領選2016】トランプ氏、選挙結果は「投票所で仕組まれている」

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米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は16日、選挙の行方は「嘘つきのメディア」によって、そして「たくさんの投票所で」、「完全に仕組まれている」と発言した。一方で共和党の副大統領候補マイク・ペンス氏はこれに先立ち、マスコミは「偏向」しているもののトランプ氏は選挙結果を「もちろんすべて」受け入れると米NBCに話していた。
各種世論調査からは、複数の激戦州でトランプ氏の支持率が後退している様子がうかがえる。
トランプ氏の選挙対策顧問をつとめるルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長も、民主党が「ずる」をしていると批判した。
一方で、民主党の副大統領候補ティム・ケイン氏は、大統領選が「仕組まれている」とトランプ氏が主張するのは、有権者の不安感をあおる「威嚇戦術」だと非難した。
トランプ氏はこれまでも集会やツイッターで繰り返し、選挙手続きが民主党有利に捻じ曲げられていると主張してきた。16日のツイートでは、「選挙は完全に、ずるいヒラリーを押す嘘つきで歪んだマスコミに仕組まれている。たくさんの投票所でもそうだ。悲しいね」と書いている。
その前にもトランプ氏は、マスコミ報道が不正確だと批判し、「選挙はマスコミに仕組まれている。クリントン陣営と結託して。ありもしないことをニュースにしてる!」と書いていた。
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「選挙は完全に、ずるいヒラリーを押す嘘つきで歪んだマスコミに仕組まれている。たくさんの投票所でもそうだ。悲しいね」
一方で、NBCテレビの番組に出演したペンス副大統領候補は、米国民が「全国メディアのあからさまな偏向に飽き飽きしている」、「だからこの選挙は仕組まれているという感じがする」と述べたものの、「選挙結果はもちろんすべて受け入れる」と言明した。
「選挙はいつも荒れるものだ」とペンス氏は付け加えた上で、米国には「平和的な権限移譲」の伝統があると述べた。
マイク・ペンス氏
これに対してジュリアーニ氏はCNNの番組に対して、フィラデルフィアやシカゴなどでの選挙結果が公平になると考えるのは「間抜け」のやることだと発言。
「共和党がズルをするのはほとんどめったにない。(中略)民主党のように都市中心部を牛耳っていないので。もし共和党が同じように都市の中心部を牛耳っていたら、民主党と同じくらいズルをするのかもしれない」とジュリアーニ氏は述べ、「残念だが、死人はたいてい共和党ではなく民主党に入れるものだ」と話した。
「あらゆる幽霊に殴りかかっている」
一方で、民主党副大統領候補のケイン氏はABCテレビに対して、トランプ氏が「負けていると分かっている」ので、「想像して思い描くあらゆる幽霊に殴りかかってる」と発言した。
「マスコミのせいだと言い、共和党のせいだと言い、米国には公平な選挙ができないと言っている」とケイン氏は批判。さらに、トランプ氏について複数の女性が過去に暴行されたと名乗り出ている問題について、「この女性を自分が暴行したはずがない、暴行するにはもっと魅力じゃないと――などと妙な反論の仕方をしている。なんて異常なことを言うんだ。(略)まさに、いじめっ子の振る舞いだ」と述べた。
女性へのわいせつな言動については、米紙ワシントン・ポストが2005年のビデオを報道したのを機に、批判が高まり、複数の女性が名乗り出た。この展開についてトランプ氏は女性たちが「ひどい嘘つき」で、マスコミが「クリントン・マシーン」の手先だと批判している。
ケイン氏は、複数の女性がトランプ氏を糾弾しているのは、クリントン陣営と無関係だと主張した。
15日には共和党幹部のポール・ライアン下院議長が、選挙プロセスの正当性を疑うトランプ氏を批判。ライアン氏の報道担当アシュリー・ストロン氏は、「われわれの民主主義は、選挙結果への信頼をよりどころにしている。下院議長は、各州がこの選挙を誠実に実施すると確信している」とコメントした。
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