ロシア、シリア・アレッポ空爆を8時間停止と表明 人道配慮で

反政府勢力支配地域カテルジにある空爆で破壊されたビル(17日、アレッポ)

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反政府勢力支配地域カテルジにある空爆で破壊されたビル(17日、アレッポ)

ロシア政府は17日午後、シリア・アレッポの空爆を人道的配慮のため8時間停止すると発表した。市民や反政府勢力が市内から脱出できるよう、18日の現地時間午前8時(日本時間午後2時)から午後4時までの間、空爆作戦を中止するという。

ロシア国防省報道官は、「この間、ロシア空軍とシリア政府軍は、空爆やその他の武器の発砲を停止する」と発表。アレッポ情勢の解決に向けてロシアも努力しているが、「すべての案件について合意するには長い時間がかかるかもしれない」、「このため時間を無断にせず、『人道的停止』を導入することにした。これは市民の自由通行と傷病人の避難、戦闘員の撤退のためだ」と話した。

ロシア国防省は、8時間の空爆停止は各国合意のもとだと説明したが、国連事務総長のステファーヌ・ドゥジャリク報道官は、少なくとも12時間の猶予が必要だと話した。

「戦闘の一時停止は、その長い短いを問わず歓迎するが、援助が市内に入るにはもっと時間が必要だ」と報道官は話した。

17日にはアレッポで、空爆により子供8人を含む一家14人が死亡したと言われている。

民間ボランティアの救急隊によると、「地中貫通弾」のような爆弾によって地面が揺さぶられるなど、激しい空爆が24時間にわたり続いたという。

がれきに埋められていたこの12歳少年はクレーンで救出された(アレッポ・カテルジ)

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がれきに埋められていたこの12歳少年はクレーンで救出された(アレッポ・カテルジ)

「戦争犯罪」との非難も

反政府勢力が支配するアレッポ東部に空爆を続けるロシアに対して、欧米諸国の非難の声が高まっている。戦争犯罪だという糾弾も増えており、欧州連合(EU)外務理事会は17日、ロシアとシリア政府軍の行為は戦争犯罪に当たる可能性があるという報告を発表した。

EU外務理事会は「病院や医療従事者、学校、主要インフラを意図的に標的に選んでいるほか、たる爆弾やクラスター爆弾、化学兵器などの使用は、紛争を壊滅的なまでに激化させ(略)戦争犯罪に相当する可能性がある」と非難している。

ロシア政府はこうした非難を否定している。プーチン大統領は、フランスのメディアに対して、欧米の一連の非難はシリアの現状を考慮に入れていないと反論している。