【米大統領選2016】民主党、メール問題でFBI長官非難 支持率の差狭まる

コーミーFBI長官とクリントン氏

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コーミーFBI長官とクリントン氏

米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メールサーバー問題で、関連するかもしれないメールを捜査すると米連邦捜査局(FBI)長官が発表したことについて、クリントン陣営や民主党幹部は相次ぎFBIを非難している。一方で、投開票日を11月8日に控え、各種世論調査によると、クリントン氏と共和党候補ドナルド・トランプ氏の支持率は伯仲しつつある。

民主党のハリー・リード上院院内総務は、FBIのジェイムズ・コーミー長官が大統領選の11日前に捜査について発表したことは、公職者が選挙結果に影響を与えることを禁止する「ハッチ法」に違反した可能性があると批判する書簡を公表した。

30日には、これほど選挙に近いこのタイミングで議会に捜査について通達するのは不適切だと、司法省がFBIに勧告していたことが明らかになった。

他方でFBIは、クリントン氏の右腕とも言われる最も近い側近、フマ・アベディン氏のメールを調べるための捜査令状を取得したと報道されている。

今回新たに問題となったメールは、アベディン氏の別居中の夫、アンソニー・ウィーナー元下院議員のラップトップで見つかったもので、送信者はアベディン氏だとされる。

ただし、捜査対象のメールは65万通に上るという情報もあり、投票日前にFBIが内容について判断を示す可能性は極めて低い。

FBIは、ウィーナー元議員が15歳少女に性的なメールを送っていた疑いに関連して、元議員やアベディンさんの電子端末を押収して調べていた。

コーミー長官は28日夜、連邦議会に対して書簡で、捜査員が発見した「別件に関する」メールが「(メール問題の)捜査に関係する様子」のため、メール問題を「見直す」と説明した。

しかしリード上院院内総務は、コーミー長官の行動は片方の政党を利するためもので、ダブル・スタンダードだと批判。

リード議員は「片方の党に味方する行動により、法を破った可能性がある」と指摘し、さらに「ドナルド・トランプと上級顧問たちとロシア政府の間の密接な関係について、衝撃的な情報」を公表していないではないかとコーミー長官を批判。

「この情報について、国民は知る権利がある。私は何カ月も前に、この情報を世間に公表するようあなたに手紙で呼びかけた」とリード議員は明らかにした。

Who is ahead in the polls?

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48%

Hillary Clinton

Headshot of Donald Trump

44%

Donald Trump

<クリントン氏とトランプ氏の最新支持率。BBCが示す両候補の支持率は直近5種類の全米調査の中央値>

2005年~2007年にかけてホワイトハウスの倫理担当主任弁護士だったミネソタ大学ロースクールのリチャード・ペインター教授は、30日付の米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、「ハッチ法」違反を捜査する特殊検察官局(OSC)にFBIに対する苦情を申し立てたと書いた。「FBIが事件捜査をめぐり政治サーカスに引きずり込まれることがあるなど、考えたこともなかった。今週になるまで」とペインター教授は書いている。

クリントン氏はコーミー長官の行動は「前例がない」もので「非常に懸念される」と批判。一方のトランプ氏は、FBIを称賛し、司法省は「ヒラリー・クリントンの犯罪活動をなんとしても守ろうとしている」と支持集会で述べた。

11月8日の投開票日を目前に、今回のFBI発表がある前から両候補の支持率は各種世論調査で接近しつつあった。

30日に公表されたABCニュースおよび米紙ワシントン・ポストの合同世論調査では、クリントン氏のリードはわずか1ポイントだった。