【米大統領選2016】両候補、「女性に横暴」「腐敗している」と相手攻撃

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米大統領選の投開票日11月8日を1週間後に控えた11月1日、民主党候補ヒラリー・クリントン氏は共和党候補ドナルド・トランプ氏を「女性に横暴」と非難し、対するトランプ氏はクリントン氏を「腐敗している」「米国の医療保険制度を永遠に破壊してしまう」と攻撃した。トランプ氏はさらに、期日前投票した有権者に「冷静になって」また投票し直すよう呼びかけた。
各種世論調査で、両候補の支持率は拮抗しつつある。米紙ワシントンポストとABCテレビの合同調査では、5月以来初めてトランプ氏が1ポイント、クリントン氏を上回った。
トランプ氏が当選する可能性を前に、アジア各地の株価は2日、軒並み下落した。一部のアナリストは、クリントン氏が当選した方が米国経済は安定するとの見解を示している。
激戦州のひとつフロリダ州の支援者集会でクリントン氏は、トランプ氏が30年前から一貫して、女性を「辱め、貶め、侮辱し、攻撃してきた」と強調。壇上には、美人コンテスト主催者だったトランプ氏に、体重が増えたことを理由に「ミス・ピギー」と呼ばれたと主張する元ミスユニバースのアリシア・マチャド氏も並んでいた。
クリントン氏が「私はずっと昔、小学校の頃に、人を侮辱してはいけないんだと教わりました」と言うと、マチャド氏はトランプ氏は「残酷だ」と批判。トランプ氏に体型を嘲笑されたせいで、何年も「摂食障害で苦しんだ」と話した。
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クリントン氏とマチャド氏
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激戦州オハイオ州でクリントン氏支持を呼びかけるオバマ氏
選挙結果に大きく影響すると予想されるオハイオ州の集会でクリントン氏への支持を呼びかけたオバマ米大統領も、トランプ氏が「若いころからひたすら、女性をブタとかイヌとか、みっともないとか呼んできた」と批判した。
民主党はこの間、女性に対するトランプ氏の態度を非難するテレビ・コマーシャルを発表。トランプ氏が「妻に仕事をさせるのはとても危険だ」と発言する資料映像などを組み合わせている。
トランプ氏については、11年前の女性へのわいせつ発言ビデオが10月下旬に報道されて以来、過去に自分もセクハラを受けた、暴行されたという女性が相次ぎ名乗り出ている。トランプ氏は、自分は何も悪いことはしていないと反論し、名乗り出た女性たちを選挙後に訴えると述べている。
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ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事とトランプ氏
一方で、中西部ウィスコンシン州の集会にマイク・ペンス副大統領候補や地元のスコット・ウォーカー知事と出席したトランプ氏は、オバマ大統領が実施した医療保険改革(オバマケア)を「大災害」と批判。大統領に当選したら直ちに特別議会を招集し「医療費負担適正化法」を撤廃し、代わりの改革を導入すると述べた。
トランプ氏はさらに、事前投票で「間違って」クリントン氏に投票した人は、「買い物をした後に冷静になって後悔する」のはよくあることだと、3日の締め切り前に投票し直すよう呼びかけた。
ウィスコンシン、ミシガン、ミネソタ、ペンシルベニアの各州では、期日前投票のやり直しを認めている。ただし、オレゴン州リード大学の期日前投票情報センターによると、実際にやり直すケースはきわめてまれだと言う。
米連邦捜査局(FBI)がクリントン氏の私用メールサーバー問題について捜査を再開すると発表して以来、クリントン陣営は守勢に回っている。FBIはさらに11月1日、2001年にビル・クリントン大統領(当時)が脱税罪などで国外逃亡中の商品トレーダーを恩赦した問題で捜査した際の、捜査資料129ページ分を唐突に公表し、大勢を驚かせた。
<クリントン氏とトランプ氏の最新支持率。BBCが示す両候補の支持率は直近5種類の全米調査の中央値>
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