【米大統領選2016】「世界の未来が危うい」オバマ氏、クリントン氏への投票求め

ノースカロライナ州の集会で演説するオバマ大統領(2日)

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ノースカロライナ州の集会で演説するオバマ大統領(2日)

米大統領選の投開票日まで1週間を切った2日、ノースカロライナ州で開かれた民主党候補クリントン前国務長官の支持者集会で演説したオバマ大統領は、米国のみならず、世界の未来を左右する選挙になると述べ、クリントン氏への投票を呼びかけた。

オバマ大統領は、これまで多大な犠牲を伴って実現した公民権にとって、共和党候補のトランプ氏は深刻な脅威だと批判した。

一方のトランプ氏は、フロリダ州での支持者集会で、オバマ大統領はクリントン氏を応援している暇があるなら国の統治に専念すべきだと語った。

トランプ氏は、「結局のところ、オバマ政権がもう4年続くのを望む人はいない」と述べた。また、クリントン氏はここ数日「錯乱している」と語った。

オバマ大統領はノースカロライナ州での演説で、「合衆国の運命が皆さんの肩にかかっている」と語った。

「世界の未来が揺らいでいる。世界の未来が確実に正しい方向へ進むよう、ノースカロライナの皆さんの力が必要だ」

「投票用紙に私の名前はないが、公平かどうかを決める投票だ。礼節への投票だ。正義への投票だ。進歩への投票だ。民主主義への投票だ」

米連邦捜査局(FBI)のコーミー長官は先月28日、クリントン氏の国務長官時の私用メールサーバー使用をめぐる捜査に関連している可能性がある、新たなメールが見つかったとして、捜査の再開を議会に通告した。

コーミー長官は、投開票日まで残り11日に迫った時点で、クリントン氏による機密情報の取り扱いに関する捜査の再開を公表したことで、激しい批判の的になった。

オバマ大統領は、ウェブサイト「NowThisNews」に2日に掲載されたインタビューで、米政府は「ほのめかし」や「不完全な情報」を基に捜査するべきではないと述べ、間接的にコーミー長官の対応を批判した。

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コーミーFBI長官(写真左)はクリントン氏の陣営に激しく批判されている

コーミー長官による捜査再開の通告後に、オバマ氏が公に発言するのはこれが初めて。

オバマ大統領はインタビューで、「捜査について、ほのめかしや不完全な情報に基づいて行動しない、漏洩情報に基づいて行動しない、というのが基本だと私は思う。具体的な判断に基づいて行動するものだ」と語った。

「前回の徹底的な捜査の末にFBIや法務省が達した結論、何度も開かれた議会公聴会の結論は、(クリントン氏には)一部過ちがあったものの、訴追に値するものはなかったという内容だった」

クリントン氏が2009年から13年にかけて国務長官を務めていた時に、私用メールサーバーを使用し、連邦政府の規則に違反していたことは2015年3月に米紙ニューヨーク・タイムズの報道で明らかになった。

クリントン氏の弁護士らがサーバーのデータを仔細に調査し、公務に関係があると判断したメール3万件を国務省に提出したが、クリントン陣営は3万3000件は個人的なメールだったとして削除した。

コーミー長官は今年7月、クリントン氏の機密情報の取り扱いが「極めて軽率」だったとしつつも、訴追すべき根拠はないとしていた。

今回捜査再開のきっかけとなったのは、アンソニー・ウィーナー元下院議員がノースカロライナ州在住の15歳の少女にわいせつな内容のメールを送った容疑への捜査で見つかったメールだ。ウィーナー氏はクリントン氏に最も近い側近とされるフーマ・アベディン氏の別居中の夫。

ウィーナー氏のラップトップ・パソコンに残されていたアベディン氏の複数のメールを閲覧するための捜査令状をFBIが得た、との報道も出ている。

パソコンには65万通のメールが残っていたとされるが、発信者や受信者、内容は不明。

反発する民主党支持者らは、新たに見つかったメールについて捜査当局が把握していることを早期に明らかにするよう、コーミー氏に要求している。

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